VIRGIN BMW | 旅の王者GSアドベンチャーの魅力を考える 特集記事&最新情報

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旅の要素を最優先した
GSのスペシャルバージョン

2002年、20年以上に渡って旅人たちを魅了してきたBMWのGSに最強バージョンが追加された。その名もずばり、アドベンチャー。21世紀の冒険家たちに向け、ビッグタンクをはじめとする特別な装備を纏ってリリースされたそれは、瞬く間にGSファンの注目を集め一躍人気モデルの座へと上り詰めたのである。このR1150GSから始まったアドベンチャーの系譜は以後のR1200GS、新R1200GSにも受け継がれ、既に3モデルのアドベンチャーが誕生したことになる。

 

そもそも、BMWのGSはビッグオフの祖と言われる存在であり、冷静に見ればやや特殊なカテゴリーのバイク。それが世界中で大ヒットし、今やBMWラインナップのメインストリームとなりつつあるのは驚くべきことだ。そして、そのGSより遥かに重く大きなアドベンチャーが日本の狭い道を走り回っていること自体、ひとつの事件であると言って良い。果たして、旅人の心を魅了してやまないアドベンチャーの魅力はどこにあるのか、歴代モデルを振り返りながら考えてみたい。

R-GSアドベンチャー

GS乗りを驚かせた超新星
R-GSアドベンチャー

走行シーン賛否両論あったものの、熟成を重ねることでライダーからの支持を得ることに成功した新世代GS。その輝かしい功績を残したR1100GSはモデル末期まで改良が加えられたが、バリエーションモデルは存在しなかった。当然、後継モデルであるR1150GSでもその路線が貫かれ、淡々と熟成が重ねられることでモデルが進化していくと多くのユーザーが予想していたのではないだろうか。

 

ところが、R1150GSは違っていた。2002年に登場したR1150GSアドベンチャーは、航続距離を飛躍的に延長するビッグタンクや専用の足回り、ヘビーデューティな各種装備を身に纏い、ベースモデルの熟成版とは全く異なる次元でデビューを果したのである。それゆえ、オフロード性能・ツーリング性能が飛躍的に強化されたその概要が発表された時に、GSファンたちが受けた衝撃は計り知れない。また、極めて押し出しの強い外観は、どんな過酷な旅もこなせそうな頼もしさが感じられ、このビジュアルだけで購入を決めてしまったオーナーも多いと言う。R1150GSアドベンチャーのデビューは、それほどセンセーショナルなものだったのだ。

 

ベースモデルとの比較で言うと、アドベンチャー最大の特長はなんと言っても強化された足回り。前後サスペンションのストロークを延長し、足付き性を犠牲にしてまでもオフロードでの走破性を高めているのである。当然、足回りの変更はハンドリングや乗り心地にも影響するが、ユーザーによってはアドベンチャーの運動性や快適性をストックのGSよりも高く評価する場合もあるほど洗練されていた。これは、アドベンチャーが小手先のフェイスリフトによる産物ではなく、BMWが本気で作り込んだモデルである証だと言えるだろう。この手法は以後のモデルにも引き継がれ、ビッグタンクなどの重装備を施されながらも、良好なハンドリングと高い快適性が与えられているのは歴代アドベンチャーに共通した美点である。以下の章では各モデルのキャラクターを説明する。

 

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歴代アドベンチャーに共通する美点が、オンロード性能と良好なハンドリングだ。スタンドが接地するほどのフルバンクも許容する。

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アドベンチャーには専用設計の頑丈な金属製パニアがオプション設定される。過酷な旅を想定した本格的な装備だ。

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1200で採用されたワイドステップや高さ調節式ブレーキペダルなど、アドベンチャーはディティールにおいても進化を続けた。

R1150GS Adventure

初代冒険モデル
R1150GSアドベンチャー

走行シーン2002年に登場した初代モデルがR1200GSアドベンチャーである。ストックと比較すると際立った装備を持つこのモデルだが、その最大の特長はなんといっても押し出しの強いヘビーデューティーな外観ではないだろうか。発表された当時の評価も極めて高く、アドベンチャー3モデルの中でもこの1150アドベンチャーのデザインが一番好きだというファンもいまだ多く存在する。

 

機能面では、前後ともに20ミリほどストロークが延長され、それぞれ210ミリ、220ミリのトラベルを持つ足回りの変更が最大のトピック。また、リアサスペンションにはBMW初となる可変スプリングレート・可変ダンピング機構付きユニットが採用している。これは、ダンパーの減衰効果が上昇するに従い、スプリングレートも変化するシステムで、初期作動では細やかに動いて路面の小さなショックを吸収。ギャップなどから受ける大きな外力に対しては、しなやかに減衰する緻密な作動とレスポンスの高さを特長とするユニットだ。そのほか、エンジン自体には大きな変更は無いものの、EVOブレーキ(ABS?)とアドベンチャーだけに採用されていたステンレスメッシュホースなどにより、よりリニアな制動力を確保した新ブレーキシステムや、6速ギアをショート化して積極的なトップギアでの走りを実現しているトランスミッションなど、走りの基礎を支える部分でも多くの変更が加えられている。また、ウインドプロテクションを飛躍的に向上させている大型スクリーンや、外観上でも大きなアクセントとなっている30リットル入りビッグタンク、アルミ製の専用設計ケースなど、機能だけではなく見た目でも冒険心を刺激する装備が満載されている。

 

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R1150GSと共通のエンジン。85ps/6750rpmの最高出力と10kg/5250rpmの最高トルクを誇る。6速は0.697から0.800へとショート化。

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R1150GSアドベンチャーの巨大なタンク。スチール製で質感も高く、容量は30リットルを確保。ストックのR1150GSにも装着可能だ。

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フル装備状態。海外仕様では、粗悪ガソリンに対応するインジェクションや1速のスーパーローギアなどのオプションもあった。

詳細写真R1150GS Adventure SPECIFICATIONS

■全長 = 2,260mm  ■全幅 = 940mm ■全高 = 1,465mm

■シート高 = 860mm

■車両重量 = 276kg

■エンジン形式 = 空油冷水平対向2気筒

■排気量 = 1,129cc ■最高出力 = 85ps/6,750rpm

■最大トルク = 10kg/5,250rpm ■フロントタイヤサイズ = 110/80-R19

■リアタイヤサイズ = 150/70-R17

■価格(税込) = CAT+ABS 186万円

R1200GS Adventure

巨大なワークブーツ
R1200GSアドベンチャー

走行シーン2代目として登場したのがこのR1200GSアドベンチャーである。ベースモデルは2004年に登場したR1200GSで、そのデビューから2年を経過して追加発表された。100PS/7,000rpmを発揮する新世代ボクサーエンジンを搭載し、車体の基本構成もベースモデルと共通だ。しかし、足回りと装備面で格段の充実ぶりを見せているのはR1150GSアドベンチャーと同様。具体的には、容量が先代を超える33リットルまで拡大された燃料タンクや、専用大型ウインドシールド、高さ調節式シート、タンクとエンジンを広範囲にカバーする強靭なプロテクションパイプ、ステンレス製ラゲッジラック、オフロード性能を飛躍的に向上させる前後ロングストロークサスペンション、大容量720Wオルタネーターなどの装備が特長だ。

 

先代のR1150GSアドベンチャーが存在したため、デビューのインパクトは弱まった感があるが、このR1200GSアドベンチャーには1150にはない魅力が備わっていた。それは身のこなしの軽さだ。実はベースモデルであるR1200GSは、先代のR1150GSと比較すると約30kgも軽量化されている。R1200GSアドベンチャーでは、重装備と引き換えにその軽さはほとんど相殺されてしまったが、それでもアドベンチャー同士の比較では1150よりも軽量に仕上げられているのだ。ビッグタンクの形状もいたずらに重心が高くならないように配慮されていることもあって、ハンドリングはあらゆる場面で先代を凌駕していると言って良い。また、メインのウインドシールドに追加されたサイドのフラップにより、ウインドプロテクションも完璧。Rシリーズを代表するロングツアラーであるR1200RTに匹敵するの快適性を身に付けたのもこのモデルからである。

 

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1150とは異なり樹脂製となった33リットル大容量タンク。ライダーの膝をカバーするカウルの役割も果す形状となっている。

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1200ではメインのスクリーンの両サイドにフラップが設置され、RTにも匹敵するほどのウインドプロテクションを実現している。

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1200となりサスペンションも大幅に進化した。特にアドベンチャーのサスペンションは良好な作動性と十分なストロークを実現。

詳細写真R1200GS Adventure(2006) SPECIFICATIONS

■全長 = 2,250mm  ■全幅 = 950mm ■全高 = 1,470mm

■シート高 = 910/890mm

■車両重量 = 258kg

■エンジン形式 = 空油冷水平対向2気筒

■排気量 = 1,169cc ■最高出力 = 100ps/7,000rpm

■最大トルク = 115Nm/5,500rpm ■フロントタイヤサイズ = 110/80-R19

■リアタイヤサイズ = 150/70-R17

■価格(税込) = 217万3500円

R1200GS Adventure

再びオフ性能を補強した
新型R1200GSアドベンチャー

走行シーンR1100GSから始まった新世代GSの歴史は、現代的なオンロード性能をGSに与える歴史であったと言っても過言ではない。BMWの目論見通りGSは際立ったオンロード性能を身に付け、ロングツアラーとしても極めて優秀なモデルとなった。今年デビューを果したR1200GSも例外ではなく、その走りの良さから好調なセールスを記録しているのも全く不思議なことではない。しかし、BMWはGSでオフロードを走りたいと考えているライダーのことを忘れてはいなかった。そのことを証明してくれたのが、ベースモデルと同時にデビューを果した新型R1200GSアドベンチャーである。

 

先代からの変更は走行性能を高める部分に集中しており、その進化は思いのほか大きい。エンジンは他のオンロードモデルと共通化され、トランスミッションを含む駆動系は実質的にGSのためだけに作られた専用設計品だ。それに加え、ボタン1つでサスペンションのセッティングを変更できるエンデューロESAと、リアタイヤの空転を抑制するエンデューロASCもGS専用オプショとして設定。特に、車重のあるアドベンチャーの車体とエンデューロESAのマッチングはベースモデルよりも良好で、オフロードに持ち込んだ場合は良く動く前後サスペンションの恩恵をより強く感じることができる。アクセルのオン・オフやブレーキングで、車体の姿勢や挙動をコントロールすることが容易で、これがオフロードでの乗りやすさに繋がっている。歴代アドベンチャーの中で最強のオフロード性能を誇るのが新型R1200GSアドベンチャーだと言うことができるだろう。

 

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先代とほぼ共通のタンク周りとガードの取り回し。1200の幅広樹脂製タンクを強固に守る重要な役割を担っている。

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オフロード性能向上の立役者エンデューロESA。オフ用のプリロード2パターン追加され、車高は最大で20ミリアップする。

詳細写真

米国ガーミン社製GPSなどをはじめとする、多彩なオプション設定も新型R1200GSアドベンチャーの魅力だ。

詳細写真R1200GS Adventure(2008) SPECIFICATIONS

■全長 = 2,240mm  ■全幅 = 990mm ■全高 = 1,530mm

■シート高 = 910/890mm

■車両重量 = 270kg

■エンジン形式 = 空油冷水平対向2気筒

■排気量 = 1,169cc ■最高出力 = 105ps/7,500rpm

■最大トルク = 115Nm/5,750rpm ■フロントタイヤサイズ = 110/80-R19

■リアタイヤサイズ = 150/70-R17

■価格(税込) = High Line 221万7000円

          エンデューロESA 9万4500円アップ

          エンデューロASC 4万2000円アップ

究極の旅バイク
R-GSアドベンチャー

G650X motoR1150GS、R1200GS、そして新型R1200GSのバリエーションモデルとして生まれた3台のアドベンチャー。こうしてみてみると、ベースモデルがオンロード性能を強化しながら現代の道を走るGSとしての役割を担ってきたのに対して、アドベンチャーはR80G/Sから脈々と受け継がれてきたGSコンセプトの正式継承者であるように感じる。ベースモデルはビッグオフのベンチマークとして君臨しつつも、時代と環境の変化に対応しながらシリーズの存続と発展を支え、一方のアドベンチャーはオフロード性能を可能な限り維持しつつ、そこに旅という要素をプラス、GSシリーズのコアなファンの欲求を満たしてきた。それゆえ、アドベンチャーは最もマニアックなモデルであり、決して万人受けする存在ではないと言える。しかし、難しいことは抜きにして、アドベンチャーの存在感を楽しむ、というのもアリだ。その有り余るほどの性能や機能を実際に使いきれるか否かという議論はともかく、路上でのプレゼンスにおいてR-GSアドベンチャーに対抗できるバイクは他に存在しない。多くの高性能4輪車のオーナーがそうであるように、「乗ってみたい」「所有してみたい」という願望に素直になった時、このもてあますほどの巨体がアドベンチャー最大の魅力にも感じられるはずだ。「最もハッタリの効くバイク」として所有したとしても、アドベンチャーは最高の満足感を与えてくれるはずだ。