初めてBMWに乗るライダーによる「R1200GSアドベンチャー試乗座談会」
- 掲載日/2006年05月22日【特集記事&最新情報】
- 取材協力/BMW Motorrad Japan 文・写真/青木 タカオ
すべてのライダーを冒険へと誘惑する
フル装備のGSスペシャルバージョン
1200ccの水平対向2気筒エンジンを搭載した『R1200GS』をベースに、さらに長距離移動やハードなライディングを可能とする装備を身にまとったのが『R1200GS Adventure』だ。R1200GSとの主な相違点は、容量33リットルのビッグタンク、大型ウインドシールド、ステンレス製ラゲッジラック、高さ調節式シート、出力720Wの高性能オルタネーター、オフロード特性に優れたロング・スプリング・ストローク、クロススポークホイールなどなど。また、先代モデルであるR1150GS Adventureとは、大幅な軽量化、出力(+15%)とトルク(+17%)の著しい向上、新開発6速マニュアル・トランスミッション、新型EVOパラレバーとTDDスプリング・ストラット、新型テレレバーなどが挙げられる。
なかでも最大の特徴は、33リットル(予備燃料分約4リットル)の大型燃料タンク。R1200GSに比べて13リットルも多くのガソリンを飲み込み、仮に90km/hで定速走行した場合、航続距離は理論上700km以上にもなるという。最強サバイバルバイクR1200GSのスペシャルバージョンというわけだ。
跨って走り出した瞬間に
長く付き合えそうなバイクだなって思いました
MC●今日はみなさんお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございました。まずはR1200GSアドベンチャーについてですが、最初に見たとき、跨ったとき、どう感じられましたか?
まーくん●33リットルものガソリンが入るというビッグタンクや、大きなウインドシールドなどを装備して、独特な世界観がありますね。
小倉さん●カッコイイですよ。オフロードを感じるポジションや装備もイイ! デザインも個性的で、機能美に溢れてますね。
高橋さん●実車をこんな間近で見るのは初めてでしたが、GSシリーズならではの格好良さってありますよね。
まーくん●ただシートが高いので、女性や小柄な人にはちょっと厳しいですよね。R1200GSよりもサスペンションが20mm延長されているそうなので、なおさらですよ。シート高は890mmと910mmの2段階に調整可能ということです。
高橋さん●890mmってスゴイ高さですよ。満タン、走行可能状態の車両重量が258kg。バランスを少しでも崩すと立ちゴケしそうで、停車時は油断できませんでした。
小倉さん●そうですね。でも万が一、立ちゴケしても、エンジンガードが付いているので、外装へのダメージは少なそうですよ。立ちゴケしやすいけど、エンジンガードやタフな装備があるから大丈夫。うまいことできてますね。
まーくん●確かにシートは高いですけど、慣れてしまえば問題なさそうです。ただ、押したり引いたりするのはタイヘンでした。
小倉さん●転んだら1人で起こすのはタイヘンかも。でも実は、リッターバイクの重量としては標準的だったりするんですよね。
高橋さん●そうですね。ハーレーは300kgありますからね(笑)。迫力があるからでしょうか、重そうにみえることは確かですね。
まーくん●ボクサーエンジンっていうんですか、左右に張り出したエンジンが特徴的ですね。スリ抜け時に邪魔にならないのかなって思いましたけど、大丈夫でした。
小倉さん●ハンドル幅の方が広いみたいですね。ボクサーツインエンジンは形も個性的で好きです。
まーくん●BMWのRシリーズならではの形ですよね。「これぞビーエム!」って感じ。
小倉さん●高速道路に上がるまでの混雑した一般道は、少しタイヘンかなって想像しましたが、走り出してみると、ゆっくり走ってても苦にならない。視線が高いからスリ抜けもしやすかったです。
高橋さん●視線はハーレーに比べるとだいぶ高い。乗用車の屋根を見ながら走る感覚は、なんだか余裕を感じますね。
まーくん●そうですね。正直なところボクは、BMWに対して「重たくて鈍い」っていうイメージがあったんですが、走り出すとすごく軽快ですね。特にハンドリングが軽い。
小倉さん●エンジンはパワフルだし、車体の安定感もありました。市街地やワインディングもスイスイ行ける感覚です。
高橋さん●ボクも走り出した途端に、「あっ、これはそりが合うな」って思いました。ポジションもゆったりしていて、長距離ツーリング向き。ボクは毎年のように北海道までツーリングするんですが、こういうモデルなら長く付き合えそうです。
快適性だけが取り柄で
つまらないエンジンかと思えばそうじゃない
まーくん●スポークホイールとブロックパターンのタイヤの組み合わせで、高速走行は大丈夫なのかなって思いましたが、巡航スピードは十分。エンジンはスムーズに回るなぁってアクセルを開け続けていたら、結構な速度が出てましたよ。
小倉さん●相当なスピードが出ているのに、疲れないでずっと走っていられる。スゴイですよ。
まーくん●理論上では750km以上も給油しないで走りきれるんですって。休憩もさほど必要なさそうだし、青森まで一気に走れそうですね。
高橋さん●ウインドスクリーンのおかげで身体も楽でした。ただ、高速道路だと快適すぎて、途中で眠くなるでしょうね(笑)。
まーくん●ドゥカティなんて、ちょっと遠くまで走るとヘトヘトですからね。そういう点では完敗です(笑)。
高橋さん●自分が乗るなら最高速度300km/hなんて出せないし、要らないですね。それよりも常識的な巡航速度で長時間走って疲れないモデルが理想です。そういう意味ではBMWは理想的。
小倉さん●同感ですね。でもスポーツ性もかなり高いと思いますよ。ワインディングでもかなり速いペースで走れました。
まーくん●快適性だけが取り柄で、つまらないエンジンかと思えばそうじゃない。アクセルをワイドオープンすれば、それ以上の必要性をまったく感じないほどの力強さと、荒々しい吸気音が楽しめました。振動も思ったより少なかった。
小倉さん●R1200STはかなりスポーティで、どんどんスピードを上げていきたくなりましたけど、GSアドベンチャーはノンビリ走っても楽しかったですね。
高橋さん●そうそう。ゆっくり走って気持ちがイイっていうのはいいですね。「抜かされてもいいや」っていう気分にさせてくれました。大きくて堂々としたスタイルで、クルマにも煽られないでしょう。
まーくん●言えてますね。近所のオバチャンたちからも「スゴイの乗ってるねぇー!」って言われて、自慢できそう。
小倉さん●なんたってBMWですからね。自慢できるでしょう。ブレーキもしっかりしてました。ABSをオン・オフできるのはいいですね。オフロードに入ったときはオフにするわけですね。
まーくん●テレレバー、パラレバーも初体験でしたが、車体が前につんのめることがなく、安定しますね。よくできてると思います。
高橋さん●普通のテレスコピックフォークと同じ感覚で、何も違和感ありませんでしたよ。
小倉さん●ボクも違和感なかったですね。シートはフカフカでソファみたいでした。
まーくん●もっと硬い方がスポーツライディングしやすいって思う人がいるかもしれないけど、GSアドベンチャーには、このシートでいいと思いますね。
高橋さん●なんだか高級車に乗ってるような感覚です。ボクは好きだなぁ。
伝統的な面と進化している面が
うまく調和してますね
まーくん●少し気になったのがリヤブレーキの効きが甘かったことかな。ブレーキレバーを握るだけで前後ブレーキが連動する「インテグラルABS」だから、リヤだけの時は甘めの感覚につくってるのかな。
小倉さん●Uターンの時なんかに軽くあてる感じで使うときにはちょうどいいんだと思いますよ。
まーくん●なるほどなぁ。それにしてもABSブレーキはスゴイですね。なんの躊躇もなくフルブレーキングができるから、このブレーキに慣れてしまうと、ごく普通のバイクのブレーキングが下手になってしまうのではないかと心配になりますね。
小倉さん●不測の事態に見舞われてパニックブレーキングするような場合、フロントだけ一気にかけ過ぎて転倒するようなことがありますもんね。そんなときでも、このシステムならタイヤがロックすることもなく、ライダーはいち早くパニックから回復することができるでしょうね。
高橋さん●スゴイですよ。だけど、イグニッションをオンにしていないときのブレーキの効き方も慣れるまで違和感がありましたね。
小倉さん●そうですね。取り回し時もイグニッションをオンにするよう心がけてからは、違和感は払拭されました。
まーくん●実はボク、昔の『R100RS』っていうのに少しだけ乗せてもらったことがあるんですが、エンジンのフィーリングは昔ながらのボクサーエンジンの感覚が残ってますね。エンジンはオーソドックスな感じなのに、車体や足まわりはまったく違う最新鋭な感覚。伝統的な面と進化している面がうまく調和してますね。
小倉さん●おっしゃるとおり。ボクサーエンジンを長い間つくり続けてきたっていう歴史や伝統もBMWの魅力ですよね。ボクはR1200GSアドベンチャーがすっかり気に入りましたよ。
高橋さん●ボクはシートが高いのだけが減点ポイント。それ以外は最高でした。
小倉さん●シート高も購入して慣れれば、きっと問題ないでしょうね。
まーくん●小倉さんは、かなり印象が良かったみたいですね!
小倉さん●うん。これは本気で買ってもいいかなって!!(笑)
参加者のみなさん
R1200GSアドベンチャー、R1200STの2台に試乗していただいた皆さんをご紹介いたしましょう。みなさん、興味は持っていたもののBMWの現行機種に乗るのは今回が初めて。一般道のみならず高速道路でも試乗した。
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