第4回 サスペンション・ブレーキ
ついに登場したCシリーズは、意欲作だった C1 以来となるスクーターだ。これまでの BMW モデルとは一線を画し、アーバン・モビリティという新カテゴリーに投入されたCシリーズを、例によって世界一細かく解説していこう。
分解レポート 詳細をチェック
倒立式のテレスコピック式フォーク。スライダー直径は 40mm で車重に見合った高剛性。上下のフォークブリッジはアルミではなくスチール製。右側のフォークには、スプリングとダンパーユニットが内蔵されている。左側のフォークにはダンパー機能はなくスプリングのみ。サスペンショントラベルは 115mm。
リアサスペンションは片持ちスイングアームとモノショック。スクーターはシート下収納スペース確保のため、ショックユニットをスイングアーム最後部に配置することが多いが、車体の端に重い部品があるのはハンドリング上好ましくない。Cシリーズでは、スペース的なメリットよりのマスの集中を優先したことがわかる。これも TMAX に似ている。
ダンピングの調整機能はなく、車載工具を用いて7段階のプリロードを調整する仕組み。調整自体は簡単だが、せめて手動のアジャストダイヤルがほしかったところ。サスペンショントラベルは 115mm。
スクーターは構造上テールヘビーになりやすいが、エンジンを可能な限り前進させ、わざわざチェーンドライブ+スイングアーム方式を採用することによって、前後の重量バランスを均等にしている。ホイールベース 1,591mm のうち、スイングアーム長は 400mm である。
フロントは直径 25.4mm のデュアルピストン式片押しフローティングキャリパー(ニッシン製)にダブルディスクを組み合わせる。前後連動ではない。ブレーキホースはすべてステンレスメッシュである。フロントホイールサイズは 3.5×15、タイヤサイズは 120/70ZR15。
マスターシリンダーはキャリパーと同じくニッシン製。
ブレーキディスク直径 270mm。フローティングタイプではない。使用限度は 4. 5mm。
リアホイールサイズは 5.5×15、タイヤサイズは 160/60ZR15。前後とも大型スクーターの標準的なサイズと言える。リアホイールには二つのブレーキキャリパーを備える。
上側が本来のブレーキ用で、直径 27mm デュアルピストン式片押しフローティングタイプ。
下側はサイドスタンド連動のパーキングブレーキ専用キャリパー。ワイヤー引きの機械式である。
ABS は標準装備。コントロールユニットはフロントパネル左側に搭載される。技術革新の成果で非常に小さく、わずか 700g の重量しかない。
ブレーキレバーの位置は前後ともに5段階調整式。レバーエンドにはあらかじめ強度が弱い部分(肉抜き部)を造っておき、転倒しても根元から折れない仕組み。
OEM タイヤは、メッツラー FEEL FREE。ほとんどのメーカーがラインナップするサイズなのでタイヤチョイスには困らないだろう。
こちらはもうひとつの OEM タイヤ、ピレリ DIABLO SCOOTER。グループ企業のせいか、トレッドパターンが似ている。
タイヤの指定空気圧は一人乗りでフロント 2.4bar・リア2.5 bar。