第3回 オイルパン・ロアーケース
各メディアでの好評もあり、発売以前より数多くのバックオーダーを抱えている BMW Motorrad の旗艦 K1600GTL。その K1600GTL は大きいだけのツアラーではなく、現在の BMW のテクノロジーを惜しみなく投入した文字通りのフラッグシップ。一般読者やオーナーですら見る事ができないメカニズムやメンテナンスの詳細を眺めながら、K1600GTL の本質を紹介していこう。
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エンジンを逆さにし、オイルパンを外す。
オイルパンを外し、横から眺めると、非常に少ない容積しかないことがよくわかる。
ドレインボルトは8ミリのヘキサゴン。BMWのボルト類はトルクス規格を多用しているが、なぜかエンジンオイルのドレインボルトだけは六角なのである。
ドレインボルトをオイルパン内側から見る。穴の周辺に4本の大きな突起が見える。
オイルパンの中には大きな金属板のセパレーターがある。その中心あたりにもう一つのドレインボルトがある。これがオイルタンクに通じるドレインボルトである。
オイルパンの穴から長いレンチを介し、このボルトを外してオイルを抜く。前述の4つの突起はこのボルトがオイルパン内に引っかかることなく、真下に落ちるようにするためのもの。締め付けトルクは12N・m。
セパレーターを外すとオイルポンプが現れる。かなり大きく、周辺にも余裕があることがわかる。
通常、オイルポンプはクランクケースと一体であることが多い。このように単体部品であることは珍しい。おそらくは、振動や騒音対策のためだろう。
オイルフィルターの締め付けトルクは、ガスケットにオイルを塗った上で11N・m。
クランクケースの上下を分割する。長いクランクシャフトが現れる。なお、4気筒以下のエンジンのような、バランサーシャフトは設定されない。
組み立て式クランクシャフトは120度オフセット。大端部はベアリングではなく、プレーンメタルにより支持される。
クランクシャフトのウェイトにはバランス調整用の追加工がほとんど無い。工作精度の高さが伺えるところ。
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