第2回 サイレンサー
ついに BMW 初の体育会系ダートバイク、HP2 Enduro の登場です。R1200GS ベースというより、GS のエンジン等を使ったまったく別のバイクと表現すべきで、他のいかなる BMW バイクの系列にも属さない。オーナー以外では滅多に見られない細部をお見せしよう。
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エキゾーストパイプ・集合部分・サイレンサーを含めて排気系はすべてステンレス製。GS とデザインは同じだが、表面はショートピ-ニング (細かな鉄球によるブラスト) 処理がなされ、ダート走行後の汚れや傷・変色が目立たないように配慮される。このようなざらついたブラスト処理は他の部位も同様である。HP2 には、メッキや研磨仕上げされた部品が無いに等しいが、それはそれでコストがかかっている。金属素材の表面・溶接痕・鋳造の粗さを追加工でごまかすことができないからだ。
集合部分とサイレンサーの接続部分にはガスケットは無く、スプリング二本で引っ張ってあるだけ。まるで社外品のような造りだ。脱着のしやすさと、振動や転倒でサイレンサーが動くことを想定したものだ。
サイレンサー。薄い金属板の突き合わせ溶接は難しいが、溶接跡は非常に綺麗。肉厚はかなり薄く、軽量化と放熱効果を高めている。外してみると GS より2kg 軽いが見た目の印象よりは重い。内部の隔壁やパイプが複雑に取り回しされ、排圧を保持しつつ消音しているのが伺える。GS にはあった排圧制御ダイヤフラムが廃止されたせいか、スロットルオフで結構アフターファイアが発生する。音量にさほど変わりがないが、音質は GS より軽い印象を受けた。HP2 で唯一軽量化できそうな部分だが、排ガス・騒音規制も厳しくなったうえに、直管に近いサイレンサーを付けると確実にトルクが細るので注意されたし。
サイレンサーの固定はステンレスのバンドとボルト一本のみ。GS も同じような固定方法をとるが、位置関係が異なるので、いわゆるポン付け (ボルトオン) はできない。
最初は見た目を変えただけで GS と同じ中身かと思ったが、太く短い完全な別部品。パニアを付けないことが前提の設計。GS はパニアケースに熱が伝わるのを嫌い、表面温度を下げる必要があった。したがって、全体を細く長めにしてパニア内側との距離を稼いだうえに、メッキの遮熱カバーを付けていた。
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