第1回 R1200RT 外装系 その1
今回取り上げるのは、R1200RT と ST である。ここでは装備品が多い R1200RT をメインに、通称 PDI (Pre-Delivery-Inspection:納車前点検) 作業に加えて、新規採用されたメカやディテール、メインテナンス情報をできるだけ分かりやすく解説していく。オーナーおよびオーナー候補の方々も参考にされたい、ディーラーメカニックだけが知り得るニューモデルの細部を紹介していこう。
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ニュー RT が到着。さっそく木枠の開梱。カウルが大きく、スクリーンと前輪を外してあっても、ぎりぎりのサイズだ。中にはパニアケースも入っているのだ。バイクを傷つけないよう、慎重に梱包を分解していく。
前輪が付いていないので、ロープで吊り上げて組み立てる。組み立て・オプションの取り付け。納車前点検とセットアップ終了 (車検場行きが可能状態) まで、4~5時間くらいかかった。慣れればもう少し早い。
押して動かせるようになったところで、カウルを分解する。手順を憶えると同時に、新規登録書類のために、エンジン番号の拓本を取る必要があるのだ。
カウルの固定ビスはトルクス規格で T25 と T30。L字型レンチでも使えるが、このようなドライバーの方がはるかに早い。
サイドカウルは旧 RT の一体成型から二分割式に。ミラーを外す必要はない。
上側のカウルはビス4本。特に難しくはない。
この時点で、左側面はフューエルポンプユニットに手が入るようになった。
下側のカウルを外すにはタンク上部のキャリアを外す必要がある。
ビス4本で外れた。タンクバッグを固定できるキャリア。結構丈夫そうな樹脂製。
カウルの合わせ面を隠すという、デザイン上の意味もあるようだ。
カウルのビスは8個。左側上部前端に、1個だけクイックファスナーがあった。
特にコツはなく、ビスが多いだけで簡単に外れた。隠しビスもない。
同調点検用のバキュームホースをつなぐためには、カウルを外すことがわかった。面倒といえば面倒。
右側のカウルも外してみよう。アンダーカウルは廃止された。カウル内に熱気がこもるのを防ぐためとのことだ。
上側の手順は同じだが、下側のカウルはオーディオ廻りにビスが増えて全部で 12本。ボックスのフタはビス2本。
エアクリーナーとミッションオイルの点検、スロットル同調調整が可能になる。定期点検などではサイドカウルを外すのを前提にした設計だ。ここまででビス 34本クイックファスナー1個を外した。旧 RT より多い。
工具不要で外れるインテークダクトの奥にエアクリーナーエレメントが見える。
フューエルタンクも外す。容量は 27L と増加。イタリアのアチェルビス社製。電装系の配置を見るためだが、電装のメインテナンスは基本的に GT1 で行なうので、めったに外すことはないだろう。
普通は PDI でここまでは分解しない。勉強と技術的興味のためだ。メインフレームは旧型のアルミ鋳物からパイプになり、補機類のスペースに余裕ができた。相変わらず低重心であることがよくわかるショット。ホイールベースは 1485ミリ。GS より 55ミリ長く旧 RT と同じ。
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