VIRGIN BMW | サスペンションシステム編 BMWバイク テクノロジーガイド

サスペンションシステム編

  • 掲載日/2006年02月12日【BMWバイク テクノロジーガイド】
サスペンションシステムの画像

BMWの快適さは
決してエンジンだけの恩恵ではない

「デュオレバー」、「テレレバー」…チンプンカンプンという方も多いのではないだろうか。これはBMWのサスペンションの名称である。一般的なモーターサイクルは「テレスコピック」という方式のフォークが使われている。

ただ、BMWがこれを使用しないのにはわけがある。テレスコピックはサスペンションとしての性能はほとんどのモーターサイクルに使用されていることからも問題ないといえるが、欠点もある。それはブレーキング時に減速Gにより前のめりを起こす可能性があるのだ。

安定と安全を追求するBMWは、このために新しいフロント・サスペンションを開発する。それこそがこの「デュオレバー」と「テレレバー」というわけだ。また、リア・サスペンションにもBMWは独自の機構を採用している。「パラレバー」がそれだ。この3つについて、解説しよう。

減速Gと路面からの衝撃を
別々に解決するという革新

上述したが、近年のモーターサイクルのほとんどに使用される「テレスコピック」方式は、優れた性能を誇るがブレーキング時に前のめりになる危険性がある。BMWが独自開発する「テレレバー」の効果を一言で言うなら「前のめりを抑制し、ライダーの姿勢変化を最小限にする」ということになる。

仕組みは「テレスコピック」のように減速G(前方へのG)と路面からの衝撃をまとめて解決せず、それぞれに対して「役割分担」することで解決する。つまり、ブレーキングによって発生する減速Gはフロントサスにアームを設置して抑え、路面衝撃にはスプリングとダンパーで抑える2段構え。図を見れば合点がいくだろう。付け加えるならば、上記以外にも「テレレバー」は路面追従性に優れ、安定した高い制動力を実現。高い制動力を誇りながらも安定しているまさに革命的なフロントサスと言える。

テレレバーをさらに強化
ハードな走りと調和するデュオ

スポーツモデルに搭載される横置4気筒エンジン。高出力、深いバンク角を持つこのハイスペック・エンジンに対応するため開発されたのが「デュオレバー」だ。ハイスペック・エンジン車にありがちな、激しいブレーキや加速による、急激かつ大きな加重移動を抑える「テレレバー」の性能アップ版といえるサスペンションシステムである。

「テレレバー」の進化版といえるだけに、衝撃吸収や減速Gの抑制以外にも「デュオレバー」は路面追従性に優れ、そのために安定した高い制動力を発揮するメリットも当然ながら継承する。峠などのブラインドカーブ…いきなりの状況変化は恐ろしいものだが、そういった刻々と変わる状況に臆することなく安心感を持って駆け抜けるとき、デュオレバーの恩恵はきっと実感できるだろう。

デメリットを消すだけではなく
むしろ、走行性能を上げる

伝統のドライブシャフト方式のBMW。丈夫で静粛性が高く、パワー伝達のロスが少ないなどメリットも多いが、同時にトルクリアクション(スロットルを開け閉めするときに起こる揺れ)が起こるなどデメリットもある。それらを解決するためにBMWが開発したのが「パラレバー」だ。通常シャフトシステムは、アクセルを開くとシャフトの回転力がリアサスを持ち上げようとする。

しかし「パラレバー」では、「トルクロッド」と呼ばれるパーツをファイナルドライブとフレームの間に設置することで、これを効果的に打ち消す。このサスペンション、トルクロッド、ドライブシャフトなどを集合機能として自己完結させるシステムこそ「パラレバー」の仕組みだ。最新モデルではさらに進化を遂げ大幅に軽量化された。車重減はもちろん、パラレバーもさらに繊細な動きを持ち、より走行性が高められている。まさに縁の下の力持ち的なシステムだ。

ESA(Electronic Suspension Adjustment)
ボタン一つでサスペンションを調整する

最後はオプション装備の話になるのだが、最近のBMWには「ESA(Electronic Suspension Adjustment/電子制御サスペンション)」が用意されている。

これがなんとも面白い。名のとおり電子制御、ボタン一つでサスペンションの性能を変化させることができるのだ。例えば1人乗り、1人乗り+荷物、2人乗り+荷物といった3段階の加重調整はもちろん、走行中でも減衰力(振動を押さえ込む力。サスの堅さ)を、乗り心地重視、普通、スポーツ仕様などとコントロールできる。走る道、用途によって愛車をいつでも自由自在に変化させることができるというのだから、興味津々である。

しかも調整はハンドルのスイッチボックスでワンタッチ、設定状況は液晶パネルで確認できる便利さ。最新モデルを購入するなら、ぜひとも検討してみたいオプションである。

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