R1200GS(2008-)
- 掲載日/2012年01月10日【BMWバイク中古車ガイド】
R1200GSの歴史など
OHC ボクサーエンジン最後の “GS”
熟成を極め仕様の充実ぶりが見られる
今回ご紹介する R1200GS は、2008年モデルから2009年モデルまでの OHC エンジン最後となるモデルです。見た目の印象はそれまでの R1200GS と大きく変わらないものの、装備品と使い勝手の部分において更なる充実が図られています。
販売価格は「アクティブライン」が 1,751,500円、「ハイライン」が 1,994,000円と 2,014,000円、「プレミアムライン」が 2,150,500円の設定でした。プレミアムラインの呼称は2009年1月から開始されています。
2004年からBMWラインナップの中に登場した R1200GS は、パワフルで応答性の良いエンジン、守備範囲の広いサスペンション、安全性が高く合理的な電装品類など色々な面において登場当初からとても完成度の高いモデルでした。それらがわかり易い形になってモーターサイクルになったため、BMW モーターサイクル史上一番の生産台数を誇り、BMW を代表するモデルに成長しています。年数を重ねていっても特に改める箇所は R1200GS には無かったものの、新しい技術の登場と更なる独自性を高めるため、2008年モデルから装備の追加と、用途に合わせた仕様の変更が施されています。
R1200GSの特徴
これまでのデザインは踏襲し
新たな機能を装備する
2007年モデルまでの R1200GS においても、その装備面と性能について不足しているということは全くありませんでしたが、更なる高みを目指すため、2008年モデルから新たな装備を当初工場オプションとして追加し、後に「アクティブライン」、「ハイライン」、「プレミアムライン」と装備されている内容によって R1200GS を3つの仕様に分けています。
最上級仕様のプレミアムラインに工場オプションとして用意されたのは、オフロードESA、ASC(オートマティックスタビリティコントロール)、OBC(オンボードコンピューター)です。オフロードESAは、他のモデルにすでに設定されていた ESA の守備範囲をオフロード走行まで拡大させたものです。
ESA はハンドルスイッチひとつで前後サスペンションのダンパーとプリロードを調整するもので、オンロードモデルに搭載された ESA はダンパーとプリロードをそれぞれ3段階の計9通りに調整しますが、R1200GS に装備されるオフロードESA はダンパー3段階とプリロード5段階の計15通りに調整することができます。険しいオフロード走行時用のプリロードに設定すると、車高が上がるのが分かるほどに変化し、逆にダンパーを「コンフォート」にしてプリロードを「1人乗り」にすると、全ての路面の凹凸を吸収するかのような、快適な走行状態をも可能にします。
ASC(オートマティックスタビリティコントロール)は、発進時や走行中での駆動がかかった後輪をむやみに空転させず、常時路面にグリップさせる機能です。濡れた路面はもちろん凹凸の激しい路面でも有効ですが、コーナリング中やヒルクライミングのような特殊な状況では、当然限界もあります。この機能は ABS 同様一時的に停止することもできます。
OBC(オンボードコンピューター)は、今までと同じ液晶表示板に平均燃費、平均速度、気温などの機能を加えたものです。仕様により装備が異なるため、モデル年式だけで判断すると思わぬ失敗をするので十分な注意が必要です。
エンジンは全ての仕様で同じです。他の R1200用を流用したため僅かながらオンロード寄りの印象になったとは言え、最高出力 105ps と最大トルク 115Nm の高出力化は GS の魅力をさらに増したはずです。同時にギア比を変更したことにより、先代の GS より加速力とスムーズさも増しています。車体や外装関係で変更された箇所は多岐に渡りますが、先代のデザインは完全に踏襲されています。変更された箇所はフェンダー、タンクカバー、サイドパネル、シート、前後ホイール、テールランプ、フロントフォーク、メーターパネル等々です。サイレンサーはメッキとヘアライン仕上げの両方が存在しています。
目立たないが大きな違い
後方からの視認性向上
使いやすい新機能
当時のカタログを見てみよう!
「どこにでも行けるさ」と言いたそうな
過酷な大地を気軽に走る雰囲気
中古車選びの注意点
近代モデルの最重要注目ポイント
電装系の動作はディーラーで確認
R1200GS も含めて最近の BMW モーターサイクルには電子制御される部品が数多く使われており、エンジン制御、ABS、ASC、ESA、車体の電装品全てが複雑に関係しています。大昔ならば例えヘッドライトが点灯しなくなっても、バルブかヒューズの交換程度で終わったものでしたが、今ではそう簡単に済まない場合もあります。
ABS、ASC、ESA等は目で見てその作動が正常かどうかは判断できませんし、本当に作動しているのかも確認できません。全て専用の診断機を用いてそれぞれを確認する必要があります。もしリアサスペンションの ESA が故障していたら、その部品代は約26万円にもなります。知らずに購入してしまったら大きな損害となるので、電気的デバイス満載のモデルは必ず BMW ディーラーを通して購入されることをお勧めします。
- ● 2004~2007年モデルまでの R1200GS と、注意箇所は基本的に同じです。
- ● 電気的デバイスはテスターでしか確認できないため、購入時には販売店とよく相談する必要があります。
- ● 2008~2009年モデルには車高の低いローダウン仕様車が存在するので確認する必要があります。
- ● 「アクティブライン」、「ハイライン」、「プレミアムライン」があるため、車両選択時はどの仕様なのかを確認する必要があります。
- ● 社外マフラーが装着されている場合には、排気ガスと騒音の規制適合品かどうかを確かめる必要があります。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
- 【前の記事へ】
R1200GS(2004-) - 【次の記事へ】
R1200R(2007-)
関連する記事
-
BMWバイク中古車ガイド
R1200GS(2004-)
-
BMWバイク中古車ガイド
R1150GS(1999-)
-
BMWバイク中古車ガイド
R1100GS(1994-)
-
BMWバイク中古車ガイド
R1150GSアドベンチャー(2002-)
-
BMWバイク中古車ガイド
R100GSパリダカール(1989-)
-
BMWバイク中古車ガイド
R1200R(2007-)
-
BMWバイク中古車ガイド
R1150Rロックスター(2003-)
-
BMWバイク中古車ガイド
R850Rロードスター(1995-)