K1100RS(1993-)
- 掲載日/2011年12月05日【BMWバイク中古車ガイド】
K1100RSの歴史など
世代を重ねて熟成極まる
縦置きクランク4気筒エンジン
4気筒エンジンを搭載するKシリーズのスポーツモデルとしては、3代目になるモデルが今回の K1100RS です。初代の K100RS-2バルブエンジン仕様が1983年の末に発売され、途中4バルブエンジンに代わり、初代から10年経過した1993年の1月に K1100RS が登場しました。1993年という年は、R100RS や R100GS 等の OHV エンジンモデルが現行モデルとして店頭に数多く並び、R1100 シリーズの内 RS だけが登場し、K75 シリーズの殆どが ABS 装備車になって、F650 シリーズはまだ発売前という時です。
K1100RS 導入当初の販売価格は、消費税が3%の時で税別199万円です。まだ店頭には K100RS が189万円で販売されていたため、高価格車の割にはお買い得感があるといった声が多かったようです。
1年後には ABS が ABS2 に代わり、キャタライザーが標準装備されるなどして最終価格は206万円になりました。メーカー生産は1996年までの4年間で 12,179台だったようです。そのうち何台が日本へ輸入されたのはわかりませんが、1998年頃までは店頭在庫として販売されていたようです。
K1100RSの特徴
初代から継承される明確なコンセプト
最後の “レン・シュポルト”
K1100RS のデザインは、1983年から始まる K100RS を大きく変えることなく15年間継承し続けられています。機能性と完成度の高さが証明されている結果に他ならないと思われます。アッパーカウルの形状は小型ながら、それまでの大型で重量がある R100RS と比較しても機能の面で引けをとりません。頭部への走行風を最大限軽減するためカウル上部に角度を調整できるフラップを装備し、左右のリアビューミラーは手元にあたる風を減らして冬場の寒さから手を守っています。
K1100RS から新たに加えられたエンジンまで包み込むフェアリングは、下半身への走行風を軽減していますが、夏場にはこれが裏目に出て特にエキゾーストパイプが集中している左側の足元を熱くしてしまうのは残念です。
車体構成は1990年からの K100RS-4バルブ仕様がベースになっています。前後サスペンションは、テレレバー登場以前のため、フロントは一般的な正立式テレスコピックフォークが使われ、スイングアームにはシャフトドライブの挙動を軽減する K100RS-4バルブと同じパラレバーが用いられています。
エンジンは排気量が 1092cc へと UP していますが、パワーはドイツ国内の規制により 100ps と K100RS-4バルブと変わりありません。ただしパワーを抑えた分、低~中回転域のトルクが増し、縦置きエンジンのKシリーズらしさが一段と強調されています。
標準装備されている ABS は年式により2種類が存在します。当初 K100 系と同じ ABS が搭載され、リアステップ近くに円筒形のユニットが装着されていましたが、1994年からはユニット自体が小型化されてシート下に設置され、同時にバッテリーも 25A から 19A の小型タイプへ変更されています。シートは高さ 800mm の1種類のみの設定となり、K100 シリーズにはあった 770mm のローシート設定は廃止されています。
最小の装備で最大の効果
合理的な機能デザイン
もはや必須装備
当時のカタログを見てみよう!
スポーツツアラーの新たな理想型
10年にわたる進化が表れる
中古車選びの注意点
フェアリングよりもステッププレートの損傷と
パニアケースステーの歪みに注意
立ちゴケをした場合、まず気になる部分はフェアリングのダメージだと思いますが、忘れてはならないのが車体の下回りにあるステップやペダルの破損です。ステップやペダルが割れて脱落したり車体と干渉するほどに曲がっていれば容易に発見できますが、少し曲がった程度だと見落としがちになるので注意が必要です。
K1100RS の場合は、ステップやペダルの他にステッププレートの曲がりにも注意する必要があります。左側はマフラーがあるので曲がりにくいのですが、右側はタンデムステップから後方が曲がりやすい傾向にあります。ステッププレートを上部から垂直に見下ろすと簡単に発見することができます。本来ステッププレートはスイングアームと並行に配置されていますが、曲がると画像のようになります。まだこの程度ならば問題は起きませんが、さらに曲がったりサイドバッグステー固定のボルトが不適切だと、スイングアームがストロークした時にプレートやネジと干渉し、双方にダメージを受けることがあります。
- ● 燃料タンク内部が腐食している箇所があってもほとんど発見できないため、燃料にじみには注意。
- ● カウルとミラーの接合部分にある取付金具が変形していると、わずかな振動でもミラー本体が脱落します。
- ● インジェクション仕様のため燃料ホース関係は定期的な交換が絶対に必要です。
- ● エンジン前側下部のポンプからのオイルや水漏れは、ひどくなってきたら修理してください。
- ● 配線のコネクターは防水性がそれほど高くないため、高圧洗車機の使用は注意が必要です。
- ● クラッチハウジング下の穴からオイルが垂れ落ちるようになったら早めの修理が必要です。
- ● ABSとABS2はバッテリーが弱るとエラーを起こし易くなるのでいつも元気なバッテリーを使用する。
- ● ほとんどの部品は問題無く入手可能ですが、装済み外装部品の多くは廃番となっています。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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