HP2エンデューロ(2006-)
- 掲載日/2011年07月04日【BMWバイク中古車ガイド】
HP2エンデューロの歴史など
ボクサーエンジンを搭載するピュア・オフロード
メーカー限定生産で希少性「高」
BMW の OHC エンジン・オフロード・モデルは、1994年発売の R1100GS から始まり、1999年の R1150GS、2004年の R1200GS へと続いてきました。今回の HP2 エンデューロは、R1200GS が空前の販売記録を打ち立てようとしている2006年の後半に発売となります。
R1200GS は単一モデルで10万台を超えて生産されていますが、HP2 エンデューロはメーカー生産がわずか 2,910 台の限定生産車です。モデル年式は2006年と2007年だけで、日本へ輸入された総数は200台と言われています。
販売価格は 2,415,000 円で、2006年当時の K1200S や R1200RT よりも20万円程度高い価格設定でした。しばらくすると前後ロードホイールセット付の仕様が 2,525,250 円で販売されています。なお、それ以前にオーナーとなっていた方には、ロードホイールセットが 105,000 円で、希望者に特別販売されました。
販売台数はわずかですが、年間通してコンスタントに出てくる中古です。使われ方はオフロード専用車として、ロードホイールを履いてオンロード専用車として、そしてほとんど乗らずに眺めている、という極端なケースが多く、走行距離が少なく新車と変わらないような中古車が出てくることも少なくありません。ただし、よほど傷んだ車輌でなければ販売価格は高値で安定しています。
HP2エンデューロの特徴
“ハイパフォーマンス” を標榜する新シリーズ
究極のビッグ・オフロード・バイクという位置づけ
大排気量のオフロードモデルとしては比較的軽い装備重量 199kg が HP2 エンデューロの最大の魅力です。オフロードタイプのツアラーモデルとしてではなく、純粋にオフロード専用車として作られているため、便利な機能や快適な機能をほとんど省いて、できるだけ軽く仕上げられています。BMW のお家芸である ABS やハードサイドバッグ等は設定すらなく、強固であるべきサイドスタンドの取付ブラケットも、軽量化のためアルミ製で作られているほどです。また、リアフレームエンドやフロントフェンダーステーがアルミ製、ガソリンタンクは半透明の樹脂製で容量わずか 13リットル、バッテリーは 12Ah という小容量が使用されています。
リアサスペンションはコイルスプリングを使わないエア式のため、サスペンションとしては驚異的に軽い 2,210g です。空冷 OHC エンジンは、基本構成部品こそ他の R1200 シリーズとほぼ同じですが、バランサーシャフトを装備していない点が HP2 エンデューロ用最大の違いとなります。バランサーが無くなることにより回転のピックアップが向上することになりますが、反面回転が速くなればなるほど振動が増えるというデメリットも生じます。それでも BMW は性能を重視しました。100km/h ほどのスピードならば快適ですが、そこから回転が上がると共に、徐々に振動が増すことになります。ですから高回転を常用する使い方や、オフロードコース等で使用される場合には、走行した時間で整備する項目が義務づけられており、“普通” に使える R1200GS とはまったく異なる車輌だと知る必要があります。
サスペンションは前が 270mm、後が 250mm と十分なストローク量が確保されているので、オフロードでは優れた走破性を発揮します。ただし、オンロードではブレーキングによる過大な前後の姿勢変化を誘発するので、テレレバーモデルとはまったく違った印象になります。
その気になればモタードも?
バッテリーも最小限
確実・シンプルなレベルゲージ
当時のカタログを見てみよう!
世界最強の2気筒オフロード・バイク
ビッグ・エンデューロからピュア・オフロードへ
中古車選びの注意点
傷み具合は用途に応じてさまざま
使用目的が明確なのでわかりやすい
オフロードでガンガン使われた車輌は、何処といわずに全ての箇所を十分に点検する必要があります。しかしながらほとんどオフロード走行をしていない車輌ならば、大きな転倒キズ等の有無を確認する程度で良いかもしれません。
たまに目にする不具合箇所は、フロントホイールの歪み、サイドスタンドの過剰な傾き、フロントフォーク・インナーチューブのコーティング摩耗、リアキャリア風の部品の下にあるアルミフレームの歪みなどです。特にフロントホイールは過激な走行をすると歪む場合があるようです。Assy交換すると部品代だけで20万円超なので注意する必要があります。
サイドスタンドは、スタンド本体とホルダーの曲がりが複合して大きな傾きになります。注意すべきはそこに付くスイッチです。これが破損するとエンジンは始動しなくなります。リアフレーム後部のアルミフレームは、万一曲げても人力で曲げ直せる程度の強度しか持たせていないので、心配することはありません。
- ● 小型なバッテリーが使用されているため、容量的に余裕が無いので充電と定期交換が必須です。
- ● センタースタンドが無いので、前後ホイールに歪みが無いかどうか十分に確認してもらう。
- ● サイドスタンドの曲がりは間違いなく破損につながり、スタンドスイッチも壊れると走行不能になります。
- ● 事故ではない転倒でもフロントフォークがよじれることがあります。タイヤとハンドルの向きにも注意が必要です。
- ● リアサスペンションは正しい空気圧で使用することが重要で、月に一度は空気圧点検が必要です。
- ● サイレンサーは軽量化のため、強く押すと凹むほど薄い材料で作られています。
- ● エンジンを高回転で長時間使用した時や、オフロードコースを走行した時は各部の増し締めが必要です。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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