R100トラッド(1990-)
- 掲載日/2010年06月08日【BMWバイク中古車ガイド】
R100トラッドの歴史など
その存在は後から知られる
徐々に人気を集めたモデル
今回ご紹介するモデルは、1990年7月に登場しわずか2年間だけ輸入販売された R100(日本での呼称は R100 トラッド)です。初年度に 100台、翌年に 100+α台が輸入されただけのモデルです。
発売前に「ある国向けのモデルを少しだけ日本にもらってくるけど売れると思う?」と聞かれたことがあります。発売当初の販売価格は 122 万円でしたが間もなく 125 万円に変わりました。同時期のモデルでは K1 が 203 万円、K75S が 134 万円、R100RS が 150 万円、R100GS が 135 万円の時代です。発売当初は大がかりな広告などしなかったため販売数はいまひとつでしたが、店頭で車輌を見かけるようになると徐々に注文が増えていき、在庫が切れてからも探している方がたくさんいらっしゃいました。
新車完売の後は中古車の出番となりますが、そのスタイルが好きで購入される方がほとんどだったので中古車はほとんど出てきませんでした。同じスタイルの R80 は新車で 109 万円でしたが、90 万円台の中古車が出るまで気長に待つという方も少なくありませんでした。日本に 200 台強しか無いので、今では待つだけ無駄と思えるほどこの中古車は出てきません。
R100トラッドの特徴
使い勝手や実用性に優れた
ベーシック・ボクサー
R100 トラッドというモデルは、一言で説明すると当時販売されていた R100RS や RT からフェアリングを全て取り去り、シートを薄くしたモデルです。車体色はクラシカルブラック一色だけで他の色は存在しません。一見すると 1990 年以前の R80 と区別することが難しく、サイドカバーの文字やスタイルだけで判断せず、必ずフレーム番号と車検証の型式等で確認する必要があります。
型式は R80 / 100 と R100 の二種類が存在します。エンジン型式は 102VC のみ。車体構成はほぼ R100RS と RT に同じです。ただし、その中でいくつか異なる部分がありました。シートは「河名シート」が作ったと言われる特別なローシートが標準装備されています。標準シートよりも約3センチほど低く、幅も狭くなり、多少固いものの足つき性は良好です。薄くした分下側に張り出させて厚みを確保しているので、シート下の工具ボックスは省略されています。そして新車時によく付けたアクセサリーとして、ヘッドライト回りに付ける小型のコックピットカウルがあります。純正品は内側に時計と電圧計が付くようになっていて高価だったものの、装着率は高めでした。社外品でも同じようなものがいつくかあり、色々混在しています。なお、ハンドルバーは R80 と同じものが付けられています。車輌に付けるアクセサリーはR、Kと共通品であることが多く、グリップヒーター、大小サイドバッグ、小型トップケースなど色々なものがありました。
日本オリジナル部分
メーターパネル
存在感のあるオイルクーラー
中古車選びの注意点
鉄製の燃料タンクは
サビとガソリンの変質に注意
永く放置した車輌の燃料タンクは悲惨な状態になっていることがよくあります。ガソリンの量や駐車場所によって違いはありますが、タンク内で必ず何かが起こってしまいます。鉄製のタンクの内側にはとても強力な保護膜が施されているので、そう簡単に錆びることはありません。ただし、ガソリンがガム状物質に変化してドロドロになると簡単に落とすことが出来ず、サビよりもたちが悪く、悲惨な状況になります。
変質化の兆候は臭いで簡単にわかります。サビを確認する唯一の方法は、タンクキャップを開け、まずタンクキャップの裏側を確認してサビが無いかどうか目視します。赤サビの兆候があれば燃料タンクの給油口からライトで内部を照らして確認します。内部全体が茶色なのは保護膜なので、サビと見間違えないようにします。そしてもうひとつの方法は、キャブレターのフロート室を開け、内部の沈殿物を確認してサビ発生の有無を確認します。
- ● セルモーター作動時の異音は修理可能なので完全に壊れる前に修理する。
- ● フレームヘッド部にある車体プレートとフレームの間に隙間があるものは事故車の疑い有り。
- ● 速度計・回転系・電圧計の動きが敏感過ぎたり鈍重の時は正しい表示がされていないことがあるので修理する。
- ● イグニッション・タンクキャップ・ハンドルロック・シートロックがひとつの鍵でできるかどうか確認する。
- ● リアブレーキのドラムは数万キロの使用でも使用限界を超えてしまうことがあり、いつかホイル交換になります。
- ● ホイールは意図的に柔らかく作られているのでリム部分のめくれや歪みの有無を確認する。
- ● エンジンのカムシャフト周辺の部品が磨耗し、わずかな異音が出ているものがあるので心配なら点検する。
- ● サイレンサーはステンレス製ですが、エキパイとチャンバーは鉄にメッキの部品なので過度の腐食には注意する。
- ● メンテナンスが容易な車輌なだけに日本語の取扱説明書や純正車載工具があると重宝します。
- ● 一定の条件化でハンドルの過度な振れや高速走行時の車体の横揺れが起こりますがそれで普通です。
- ● 1990年初頭に生産されたBMW全モデルの一部に塗装のクリアー不良があり、塗装全体が曇ることがあります。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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