F650GS(2000-)
- 掲載日/2008年04月23日【BMWバイク中古車ガイド】
F650GSの歴史など
ファンデューロの後継モデル
人気を博した単気筒F650GS
「F650GS」は、BMWの単気筒モデルとして人気を博した「F650ファンデューロ」の後継モデルとして2000年春に発売。当時の価格はABS装備車が96万円、ABS無し車輌が89.5万円という設定でしたが、2004年にはマイナーチェンジが施され、ABS付が99.5万円、ABS無が93万円、センタースタンドなどが省かれたベーシックが89万円という価格で販売されました。前モデルのファンデューロが6年間継続生産された後の新モデルということで期待も大きかったのですが、各雑誌等の車輌評価は総じて良好。先代の不評だった部分が改善されたモデルとして、発売当時の人気と販売数は相当高かったと記憶しています。
また、F650GSは他メーカーの競合モデルが少なかった上に、オンロード派の方からも支持を受け、発売当初からモデル末期まで着実に販売数を伸ばしていたモデルでした。車輌はオフロードタイプですがオンロード使用のオーナーが多かったこともあり、低年式でも程度の良い中古車が出てきます。中古車の販売価格帯は、最初期モデルが50万円後半、走行1万キロ以内でオプションや付属品を完備した最後期モデルが80万円以下、多くの車輌はおおむね60万円台で販売されています。
F650GSの特徴
十分な性能と利便性
熟成極まったF650GS
F650GSは先代のF650ファンデューロと車体構成が極めてよく似ています。ただし、個別に構成部品を見比べてみるとほぼ全てが改良されていて、より完成度が高められていることが分かります。先代同様、エンジンはBMW自社製ではなくエンジン専門メーカーのロータックス製ですが、シリンダーヘッド部分だけはBMWの専用設計品。また、燃料供給がインジェクション化されていることもあって、単気筒特有のギクシャク感は少なく、都市部での低回転域から高速道路での高回転域まで、オールラウンドに使えるエンジン特性となっています。フロントサスペンションは一般的な正立テレスコピックフォークを採用。調整機能は無いものの、オン・オフ共に必要十分な性能を持っています。一方、リアサスペンションはリンクを介したモノショック式で、ダイヤル式プリロード調整と無段階のダンパーの調整機能を装備しています。こちらは、どちらかといえばオフロードでの路面追従性を重視した設定となっていて、オンロードでは少し柔らかいという印象です。
ハンドルに装備されたスイッチ類はイタリア製バイクによく使われているデザイン。日本製バイクともよく似ており、乗り換えても戸惑いはありません。容量17リットルのガソリンタンクはシート下に配置され、燃料の増減が操縦安定性に影響しにくい設計です。電装品関連では400Wの発電機を装備して、インジェクション、ABS、グリップヒーターなどの使用に対応。バッテリーは開放型の物が指定となっており、たまに液量の点検を必要とします。なお、メーカーが用意しているオプション類は豊富です。サイドバッグ・トップケース・グリップヒーター・ハイシート・大型スクリーン・インナーバッグ類など多岐にわたり、社外製品も非常に多いことから、自分にあった仕様にすることがとても簡単なモデルの一つと言えるでしょう。
シート下のガソリンタンク
ハードにも使える鉄製ステップ
特徴的な二分割サイレンサー
F650GS オーナーの声
丁度良い大きさと性能
旅と通勤に大活躍のF650GS
大きすぎると感じていたV Maxからの乗換えです。ディーラーにはF650GSのカタログをもらいに行ったのですが、試しに跨ってみたらあまりにしっくりとして、その日のうちに購入を決めてしまいました。毎日の通勤とツーリングでかなりの距離を走りますが、ハンドリングも軽くて乗りやすい上に、取り回しも容易。燃費も良くて、最大でリッター30キロを超えることもあります。F650GSの単気筒エンジンは低速からのトルクがあって扱いやすく、高回転でもスムーズなので高速道路の巡航も問題なし。ミッションが少しだけ渋くて、ニュートラルが出し難い時がありますが、それ以外は欠点らしい欠点がありません。満足度はとても高いです。
実は、購入するときにホンダのアフリカツインやトランザルプの中古車なども検討しましたが、大きすぎるという理由で考え直しました。今では、やはりF650GSにして正解だったと思っています。キャンプ道具を積んで、ちょっとした林道も通るようなロングツーリングによく出かけるのですが、車重が軽くて丁度良い大きさのF650GSなら、知らない道にも臆することなく入って行ける。こういう使い方が出来るバイクは貴重な存在だと思います。BMWはプレミアムブランドだと思いますが、そのラインナップの中で最も気軽に乗れるモデルというポジションも好きです。同じような理由で新しいF650GSにも期待しています。(2006年式 F650GS 平本 仁さん)
F650GS 中古車選びの注意点
ハンドルバーの曲がりと
チェーン周りをチェック
F650GSの場合、要注意箇所はほとんどありません。強いて言うならば、単気筒のF650シリーズのハンドルバーは曲がりやすいということ。幅広で22mmのストレートタイプであることから、ブリッジが付いていても比較的簡単に曲がってしまう傾向にあります。立ちゴケをした衝撃で位置がずれてしまったと思い込み、ハンドルポスト部分で調整を試みたところ、実はハンドルバー自体が曲がっていた、ということがよくあります。状態を確認するためには、センタースタンドを立てて車輌に跨り、ハンドルバーを直進方向に合わせます。その時にタイヤもしくはフェンダーも正確に直進方向の位置に合っているかを確かめます。もし曲がっていた場合は、社外品のハンドルバーも使用可能ですが、グリップヒーター付の場合は配線を通す穴や切りかきをつける必要があります。
BMWとしては少数派ですが、このモデルはチェーンドライブを採用しています。KシリーズやRシリーズのようにシャフトドライブにしなかったのは、コストと重量を考慮してのことでしょう。チェーンドライブはコストが安い上に、比較的軽量というメリットがあります。しかも、メンテナンスをしっかりしていればパワーロスは少なく、破損などの危険性も低いと言えます。ただし、極端にトルク変動が大きいエンジンではなく、チェーンにとってはさほど苦しくないものの、メンテナンスを怠ると極端に寿命が短くなることも。前後スプロケットの山が摩耗して尖っていたり、全体的にチェーンのローラー部分にサビが進行していたりしたら交換を検討した方が得策です。また、指は汚れますが、チェーンの伸び具合は後のスプロケットに掛かっているチェーンだけを引っ張り確認するとよいでしょう。スプロケットの山1/3程度浮いたら要交換です。
- ● 兄弟車のF650CSと見るべきところは同じです。そちらを参照してください。
- ● 外観からは判断できませんが、左に大きく転倒するとカバー内にあるオイルタンク取付部分が破損します。
- ● リアブレーキマスターシリンダーが漏れていたらAssy交換しかできません。
- ● レバー比が異なるので、2003年モデルに2004年モデルからのダイヤル調整式クラッチレバーは移植できません。
- ● 生産年式(車検証の初年度登録日ではない)によってはレギュラーガソリンが使用可能。気になる人は要チェック。
- ● 2004年以降のモデルはシート下前側にジャンプスタート用プラス端子があります。キャップの紛失に注意。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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