VIRGIN BMW | K75C(1985-) BMWバイク中古車ガイド

K75C(1985-)

  • 掲載日/2007年10月25日【BMWバイク中古車ガイド】

K75Cの歴史など

K75Cの画像

質実剛健のKモデル
K75Cをご紹介します

K75Cは、BMWモーターサイクル史上初めての四気筒エンジン搭載車K100/K100RSが発売された後、およそ1年半後の1985年11月頃に発売されました。発売当時の販売価格は115万円。K100RSが179万円で、まだ消費税が無い時代です。3%消費税導入により一時102万円という時もありました。販売期間は1985年後期から1990年、さすがにもっとも後期のモデルでも16,7年が経過しており、初期型にいたっては22年も経過しています。たまに90年以降登録の車両を見かけることがありますね。90年式を数年後に登録という場合もありますが、95年まで生産されていたK75(カウル無し)に、オプションとして販売されていたK75Cのコックピットカウル(正式名称)を付けると外見上区別はできません。

K75Cの場合、販売からずいぶんと年数が経つので、中古車を見つけることは難しいと思われます。まだまだ使える現状販売車は15万円位から、程度の良いモデルで40万円台が一般的な中古車価格のようです。まだまだ中古車として出てくるのは、古くても部品の供給がしっかりしていること、車輌の基本的な部分がとても丈夫なこと、極端に古さを感じさせないBMWならではのデザイン等の良さがあることなどからでしょう。「昔は良かった」という意味で言っているのではありませんので誤解のありませんように。

K75Cの特徴

K75Cの画像

シャープな吹け上がりの
珍しい3気筒エンジン

なんといっても特徴的なものはエンジンの搭載方法です。左側がシリンダーヘッドで、右側がクランクケースという構造。ヘッドカバーは見るからに四輪の高性能エンジン風であり、DOHCを意識した立派な見栄えとなっています。はじめてK75の3気筒エンジンを見た時は、誰もがK100エンジンの4気筒から1本を削ったという印象でした。エンジンは下から上まで全くクセの無い性格で、4000回転まではK100系よりもシャープな吹け上がりをするのが特徴です。駆動系の構成はエンジンから乾式クラッチへと続き、5速トランスミッション、ドライブシャフト、ファイナルドライブと隙のない作りで「コンパクトドライブシステム」という名称でした。いかにもドイツ人が考えたという優れモノの機構ですね。ドライブシャフトを内蔵するスイングアームは、アルミ製の片持ち式を採用して軽量化と剛性強化、そしてリアホイルの簡単脱着という一石三鳥品です。

フロントブレーキはK100系と同じ対向式2ポットキャリパーのWディスクが装備され、リアブレーキは軽さを優先としたドラム式です。メーターは速度計、回転計、その他一般的な警告灯の他にギアポジション、制動灯切れ警告灯、ガソリン残量警告灯、チョーク警告灯がセットされていました。デジタル時計はK75Cではオプション設定となっていました。ガソリンタンクは当時でも珍しいアルミニウム製でとても軽量でしたが、納車時お客様がマグネット式タンクバックを持ってきた時は少し焦った記憶があります(笑)。K75シリーズはモデル別に四種類に分けられます。日本発売順ではK75C(ミニカウル付).K75S(ハーフカウル付).K75(ネイキッド).K75RT(大型カウル付)という順番で、最初に発売されたモデルがK75Cです。それぞれのモデルの中にはフェイスリフトと呼ばれたローシート仕様やABS仕様などもありました。

K75Cの画像

重厚感のある3気筒エンジン

インジェクションは剥き出しでわざと見せつけているような感じです。ごついです。
K75Cの画像

適度な大きさのカウル

カウルとスクリーンの隙間が風を上手く流して小型でも効果絶大のコックピットカウル。
K75Cの画像

車体後部のハンドル

メインスタンドを出す時に使うハンドルです。たまにグリップが抜けるので要注意。

K75C オーナーの声

K75Cの画像

個性溢れる3気筒バイク
もう手放せませんね

K75Cを選んだ理由は“3気筒だから”です。それまで乗っていた他メーカーの3気筒バイクを事故で潰してしまい。新たな3気筒バイクを…と物色していたときにK75Cに出会いました。初めて乗った感想としては「なんてとっつきやすいバイクなんだ」というところでしょうか。初めて乗るのに何年も前から乗っていたかのよに体に馴染んでくれたんです。個性あるバイクだと、どうしても慣れるまで時間がかかってしまうものですが、K75Cの馴染みやすさは驚きでした(笑)。

古いモデルと行ってもインジェクションモデルですし、シャフトの癖もあまりないので20年以上前のバイクという感覚はありませんね。トラブルも消耗品の交換程度で手はかからないんです。気になるところは、ハンドルの左右に分かれているウインカースイッチが押しづらいくらい。他にもバイクを持っていて、距離は稼げていませんが、3気筒独特のエンジンフィーリングがあり、手放せない1台になってしまいました。他メーカーの3気筒バイクと比べても、K75Cのエンジンは個性的で、他のバイクでは換えられませんね。 (85年式 K75C 大谷 誠一さん)

K75C 中古車選びの注意点

K75Cの画像

エンジン下部をチェックし
オイルや冷却水の漏れを確認

オイル漏れやにじみ等は目視で容易に確認できるのが普通ですが、車体の真下となると見落としたり、汚れで誤認したり発見しづらいものです。K75系に限らずK1200RSまでのKシリーズ全てでこの部分(=クラッチハウジング)からのオイル漏れやにじみをよく確認することが必要です。ここからの漏れはエンジンオイルかミッションのギアオイルのいずれかになります。もし、オイルが漏れている場合はエンジンとミッションを離してみないと、どちらから漏れているのかは確認ができません。垂れるほどの漏れは要修理ですが、にじみ程度ならばそのまま走行していても大事になることは無いでしょう。ただし、漏れが激しくなると最後にはクラッチプレートにオイルが付着して走行不能、クラッチ交換となります。

K75Cの画像

エンジン下側前方に冷却水とエンジンオイルを循環させるポンプを内蔵している部分があり、その部分の下側に穴が一箇所開いています。ここから冷却水またはオイル、場合によっては両方が漏れていることがあります。水とオイルのポンプは離されて設計されているので、エンジンの内部で水とオイルが混ざり合うことはまず起こりませんが、漏れが多くなってきたら部品を交換する必要があります。ほとんどの場合、シールだけを交換するのではなく、シールと接触しているシャフトも交換します。シャフトは長年の使用によってシールと接触する部分が細くなってしまう場合と単純に錆びてシールを破いてしまう場合がほとんどです。たまにオイルパンガスケットからオイルがにじんでこれと見間違える場合もあるようです。

購入の際の注意点
  • ● 色々と書きますが基本が丈夫な車輌なので心配することはありません。
  • ● コンピューター接続カプラーの端子にひどい腐食が起きていないこと。
  • ● クラッチレバーの引きが重すぎるのはクラッチプレートの摩耗が原因。
  • ● 洗車や雨天時の使用でメーターが曇ることがありますが数日で蒸発するので心配は無用です。
  • ● センタースタンドの湾曲している部分が摩耗したり、ひどい腐食は要注意。折れます。
  • ● サイドスタンドを使用していて車体の傾斜が大きすぎるものは要注意。折れます。
  • ● ドラムブレーキは普通に使えていても、摩耗による使用限界のものがほとんどと、覚悟が必要です。
  • ● 極まれにガソリンタンクが腐食により穴が開くことがあります。隅々をよく確認しましょう。
  • ● 前ホイールの歪みを見る。割れることがほとんど無い替わりに歪みます。
  • ● 外装の塗装済み部品以外は20年経ってもほぼ全て入手可能です。さすがはBMW。
  • ● 1986年までのモデルはエンジン始動時白煙を吹きますが、それでも普通です。
プロフィール
山本 栄治

1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。

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