雑誌BMW BIKES連動企画『冒険の旅IV もういちど白馬へ』(舞台ウラ)
- 掲載日/2014年06月20日【トピックス】
- 取材・写真・文/山下 剛
さて、今回は BMW BIKES 本誌の記事に沿ってではなく、取材の時系列にあわせて舞台ウラをお見せしましょう。というのもこのパパラッチ、別件の仕事が終わらず、冒険旅の2日目から合流というテイタラク。というわけで、冒険の旅 IV のトビラを飾ったこの場所は、バイクブロスのウェブ部門担当で、元 BMW BIKES 編集部の田中ゼンスケ氏の撮影。
パパラッチヤマシタの密着コバンザメアドベンチャー
冒険の旅の舞台ウラ、ぜんぶ見せます!
雑誌 BMW BIKES で好評連載中の『冒険の旅』、みなさん最新号(Vol.67/2014年6月13日発売)もご覧いただけましたでしょうか。松井 勉さんの大胆かつ繊細、叙情あふれる筆致で綴られる GS によるアドベンチャーツーリングは、回を重ねること4回。今回は長野・白馬への “原点回帰” の旅となりました。
記事中でも触れているとおり、この冒険旅行は “その道のプロフェッショナルたち” によるもの。執筆者の松井さんをはじめ、それぞれ斯界で大活躍中の男たちが、好奇心を満たすべく GS を走らせる哲学を背中で語ってます。
しかーし! そんなふうに語られちゃうと「あれはプロがやってることだから」と、どこかに境界線を引いてしまってませんか? いえいえ、彼らだってひと皮むけば、ただのオッサン(失礼を承知であえて言う!)たちなんです。けっして雑誌の向こうの夢の世界なんかじゃありません。GS という夢のスーパーバイクがあれば誰だって体験できる、ちょっとした非日常なのです。
それを証明するべく、今回もコバンザメパパラッチとして職権乱用を発動して潜入してきた “冒険の舞台ウラ” をお見せしましょう!
フォトTOPICS(写真点数/35枚)
01のっけから他人のフンドシで相撲を取ったヤマシタ、ここから気合入れていきますよ。2日目、冒険旅は早朝4時30分にホテルを出発。白馬の山麓から一歩足を踏み入れます。ここへ来た狙いは “朝日を浴びて赤く染まる北アルプスの山並みを背景に、GS を走らせる” こと。まずは太陽が昇ってくるまでの間、停車中の GS を撮影すべく準備開始です。
02文字どおりの “朝飯前” とばかりにダッシュしまくってるのは松井さん(右)と篠原 祐二さん(左)。大谷 耕一カメラマン(右手前)が飛ばす「うーん、F 800 GS Adventure のほうのアタマをもうちょっと左向きかな」という指示にザザッと駆け出してバイクの位置直しに向かうのです。ヤマシタは「二人ともなぜそんなに元気なの…?」と眠い目こすってます。
03松井「どうです? これくらいで OK ですか?」。大谷「はい、オッケイ」。すると松井さん、大谷カメラマンが素早くシャッターを切れるようにとまたダッシュで戻ります。昨夜はけっこう飲んでたって話をしてたわりには、よくもまあそんなに朝から走れるもんだ、あんたはスーパーマンか! って……あれ? ただのオッサンだということを証明しようと思ってるのに!
04執筆者である松井さんは、記事をどんな写真で構成するかを常に考えてます。え、これってアソビじゃなかったの? やだなあ、そんな真剣に仕事されちゃうとこっちも仕事しなくちゃならないじゃないですか! なんてグチを言ってるうちに R 1200 GS Adventure に乗った篠原さんがこっちに向かってきて、大谷カメラマンの前でズサーッとドリフト走行! うひゃー、カッケー!
05とまあこんな調子で、本誌 P30 の右上の1枚の写真、これを撮るだけでもこれほどの手間と苦労があるわけです。雑誌づくりって大変デスネー。いやあ、もうお腹すいたしそろそろホテルに戻って朝食にしましょうよ……というヤマシタの願望は受け入れられず、移動したらすぐさま次のカットの撮影。まずは松井さんが下見がてら走行します。
06何度か試走すると、大谷カメラマンが松井さんに撮影した画像を見せてチェック。よりカッコいい写真を撮るための走行ラインやスロットルを開けるポイントなどを相談するわけです。
07ちょっとした下りを利用して、松井さんはぐわっと豪快にアドベのフロントを浮かせて走っていくわけです。うひょー、カッケー。もちろん、いくら松井さんとはいえ何度か走るわけですが、見ているうちに「ひょっとして俺でもできんじゃね?」なんて思えてくるのはきっとワタクシが図々しい身のほど知らずだからというわけでもなさそうです……たぶん。
08こうして撮れた写真をみんなで見て「おおー、すげえー!」となっているの図。原 豪志さん(左から2人目)と篠原さんの表情を見れば、どんな写真が撮れたのかはわかりますね。もっとも本誌をご覧になったみなさんもすでにご存知のとおり、土煙を引きながらウィリーするアドベの勇姿がバッチリ撮れているわけです。
09そろそろみんなもお腹すいたよね……と言う隙もなく、また撮影。松井さん、原さん、篠原さんに齋藤 栄治さんも加わった4台の GS が走るシーン。くそー、いつかはここで大谷カメラマンから「タケさん(ヤマシタのこと)も走って」と言われるようになりたい。なんてブツブツ言っていると、首謀者・新田 正直さんが「タケさんはまず痩せなきゃダメだよね」とグサリ……。
10大谷カメラマンが「もう1回」と指を出しているのわかります? 実は4台のバイクが走っているところを撮るというのはむずかいしいもので、なかなかうまくいきません。それぞれの位置関係、速度、バンク角、背景とのバランス、これらがピタッといくにはそれなりの条件が必要なのです。誌面では結局2台走行のカットが使われました。
11BMW 正規ディーラー・M.S.C HARA の代表である原さんと、その常連でもある篠原さんは、ともに北海道 4DAYS やモンゴルラリーへの参戦経験を持つだけあって、本当に息がピタリと合った走りをするんです。まるでインカムつけて会話しながら走ってるんじゃないかと疑いたくなるほど。
12撮影に必要のない車両はこうしてきれいに縦列駐車。さて、ではここでクイズです。このとき撮影していた写真も BMW BIKES 67号で使われています。どのページで使われた写真を撮っているのか、わかりますか?
13さすがにさっきの写真だけで答えを当てるのはむずかしいですね。ではヒントをさしあげます。F 800 GS Adventure をよーく見てください。フロントタイヤが豪快に水しぶきをあげてるのがわかるでしょうか。ちなみに大谷カメラマンは F 800 GS Adventure の前方でカメラをかまえてます。おおっと、ヒントを出しすぎてしまったかな。
14というわけで、正解がこちら。そう、BMW BIKES 67号の表紙でした。新緑の青の美しさ、水たまりに映ったヘッドライトの灯りがなんともいえないムードを出してますねえ。
15さて。写真こそありませんが、一度ホテルに戻って朝食を済ませたら、いよいよ冒険の旅スタート。リエゾンとはいえ、1.5 車線の狭い山道を GS で走るのは楽しいものです。
16こちらは青鬼とよばれる集落にあった神社。誌面では使われなかった、いわゆるボツカットですね。ここの階段がけっこうあって、ヤマシタはすでにヘロヘロだったことは内緒です。
17空冷の R 1200 GS Adventure で低速バランス走行をしているのは、BMW 公認インストラクターの齋藤さん。撮影ポイントを探して待機中なのですが、こうした空き時間と空き地があると、いつもこうして走ってるのです。ほんと、根っからのバイク好きなんです。もっともこうした練習を重ねているから、インストラクターを務められるほどの腕前になるというものです。
18次の冒険ポイント目指して移動開始。白馬周辺はどこを走っても北アルプスの眺望がすばらしく、走っていて飽きることがないのです。
19みんなで隊列を組んでの走行シーンを撮るにあたって、列の順番や走行ラインを決めている場面。その結果が P31 の上の写真なのですが、前から4番目を走っているヤマシタ、前走車に隠れてバイクが見えてない。この写真をボツにしなかったのは、「次はしっかり走らないと連れていかないぞ」という松井さんと大谷カメラマンの無言の圧力に違いない。
20冒険の旅のトビラでも使った写真は、廃業となったスキーゲレンデの頂上。林道からちょっと入るといきなり展望が開けるのですが、その絶景を眺めているときのみんなの笑顔がこんな感じ。P31 左下のカットを別角度から撮るとこんなふうにみんな笑ってるわけです。
21齋藤さん、ここでもゲレンデに下りていって 25~30 度くらいある急斜面を上ったり下りたりして低速バランスのトレーニング……いや、楽しくて遊んでいるんだけれども、こうしたアソビがスキルアップにつながるわけですね。いや、齋藤さんの場合はアップというよりキープかな。でもアソビすぎてみんなに置いていかれてこのときやや焦ってるんです、実は。
22とある林道にある伐採場。眺望がとてもよく、休憩ポイントにも最高の場所です。ということはもちろん撮影にも最適なわけで、松井さんと大谷カメラマンはさっそく打ち合わせ。
23伐採場の全景はこんな感じです。いい眺めでしょう? KTM 1190 Adventure R、ヤマシタは初めて乗ったのですが、乗車ポジションがコンパクトで扱いやすく、なおかつオフロードでペースを上げても怖くない。想像していたよりもフレンドリーな乗り味で、かなーり気になる存在になりました。
24Honda VFR1200X で豪快なスライドを決めているのは齋藤さん。P31 左下のカットを上から撮影したのがこちらです。大谷カメラマンの注文がそうだったのかどうかはわかりませんが、かなーりハデにスライドさせるのでシャッターを切りながらちょっと期待……もとい、心配してしまいましたが、さすがは齋藤さん、難なく一発 OK!
25冒険すれば腹もすぐ減る! というわけで、信州といえばそば。山菜の天ぷらを添えていただきます!
26長野名物『おやき』をワイルドに食らう松井さん。ふかしたてのアツアツでこれがめっぽううまかった!
27おみやげのそばをゲットしてニッコリの篠原さん。フルパニアの GS って、こういうおみやげを持ち帰るのがラクってのも優れたポイント。走行性能と直接関係のない部分だけど、バイクツーリングを全力で楽しむためには必須な性能なのです。
28G 650 X カントリーを走らせる大谷カメラマン、余裕のピースサイン。このバイクは大谷カメラマンが所有する車両で、扱いやすい単気筒エンジンと取り回しやすいサイズと車重は、撮影機材一式を背負いながら林道を行くのに最適だそう。G 650 GS とは違った気軽さがあるトレッキングバイクなのです。
29そうしてやってきた田んぼの中の一本道に見覚えがある人も多いのではないでしょうか。そうです。夏の恒例イベント、『BMW Motorrad Days』の会場、白馬 47 に向かうあの道です。
30白馬 47 を上がっていくこのダートは、オフロード試乗やヒルクライムにチャレンジしたことがある人なら走ったことがあるはず。ゲレンデ管理用道路だけあって、道幅は広く路面はフラットでしまっているから走りやすい。かといって調子にのってペース上げるとギャップでヒヤッとさせられるから油断大敵。
31白馬 47 のヒルトップで車両の撮影シーン。崖のギリギリに車両を置くため、数人がかりでバイクを押して所定の位置へセットします。傾斜もあるのでこういうときは人数がいるととても楽チン。え、おまえはシャッター切ってるだけで何もしてないだろうって? はい、そのとーりです……。
32ゲレンデの広いダートを使って2台の GS が並走するシーンの撮影です。走らせているのは原&篠原の名コンビ。
33互いの距離をぴたりと合わせつつ豪快にスロットルを開けてテールスライドさせる名コンビ。大谷カメラマンはまるで射撃手のように彼らを追いかけ、松井さんも彼らの走りを眼光鋭くチェック中。「あのー、そんなに土煙あげられると……げほげほ」なんてことは口がさけても言えませんが、こうして書くことはできたりするからフシギなものです。
34冒険の旅もいよいよ終わりに近づきました。西日に照らされるゲレンデに停めたアドベを見つめながら、マジックアワーを待ちます。写真とは、光と影のせめぎあい。一瞬の光を逃すまいと、ハンターのごとくそのときを待つ大谷カメラマン。
35というワケで、冒険と仕事を終えたおっさん……もとい、プロフェッショナルな男たちはビールで乾杯! あえて撮影ポイントは明記しませんが、今回の冒険の舞台は誰もが行くことができる場所にあります。ぜひ8月の BMW Motorrad Days に参加がてら、あなただけの冒険の旅を見つけてみてください。おっと、冒険に行くときはソロではなく複数で行くことをオススメします。
関連する記事
-
トピックス
BMW BIKES 81号「冒険の旅 9」ウラ話