2014 MFJ全日本ロードレース選手権 第7戦『スーパーバイクレースin岡山』BMW Motorrad編
- 掲載日/2014年10月03日【トピックス】
- 取材・撮影・文/安藤 正和(Office25)
アトウッドカーブを立ち上がる『CONFIA Flex Motorrad39』酒井大作選手。
BMWチーム『CONFIA Flex Motorrad39』酒井大作選手は12位
『Team Tras 135HP』寺本幸司選手は15位を獲得
全日本ロードレース選手権 第7戦(JSBクラスは6戦目)が、岡山国際サーキットで開催されました。BMWチームからはフル参戦組の酒井大作選手(CONFIA Flex Motorrad39)と寺本幸司選手(Team Tras 135HP)のふたりに加え、矢木清貴選手(YAMANAMI RACING PROJECT)が、HP4でスポット参戦しました。酒井、寺本の両選手は、前戦のオートポリスで課題となった足まわりのセッティングに試行錯誤。酒井選手はリアのスイングアーム、寺本選手はフロントフォークのDDCセッティングに取り組みました。
岡山国際サーキットは国内屈指の難コース。トラクションをかけながらの切り返しを要する『レッドマンコーナー』から『ホッブスコーナー』、長いバックストレートからの180度ターン、国内サーキットで最もミュー(摩擦係数)の低い路面に3台のBMWバイクと3人のライダーが挑みました。
フォトTOPICS(写真点数/23枚)
『CONFIA Flex Motorrad39』 酒井大作選手
【フリー走行から】
「1分29秒は厳しそうだけど、1分30秒台には入れたいと考えています。岡山国際サーキットは、125cc、250cc、600cc、スーパーバイクと全クラスで優勝経験がある僕の得意コース。応援してくださるファンの方も多いし、スポンサーのバックアップも厚いので、いいパフォーマンスでみなさんの応援に応えたいと思います」
【予選を終えて】
「オートポリス、事前テスト、そして今回とおもにサスペンションのセッティングを進めてきました。リアのサスペンションに手を入れると、それがフロントのサスペンションに影響し、対策を強いられ、フロントのサスペンションに対策を施すと今度はリアのサスペンションに影響が……といったことの繰り返しでした。それをより高い次元、より高いレベルでうまくまとめることがセットアップなのです。そしてこれがS 1000 RRの可能性を引き出すということなのです。国内最高峰のロードレースに参戦することでS 1000 RRの素晴らしさをユーザーのみなさんに伝えることが我々の使命だと感じています」
【決勝レース後】
「スタートは、下がることもなく上がることもなく無難に切ることができました。僕の前後を走るバイクのエンジンがとても良く、苦戦を強いられました。ウォームアップランから動力性能に圧倒的な差を感じていました。自分にはミスが許されない、コーナーへの侵入や旋回にミスがあると立ち上がりにすぐ影響が出てしまう、と自分に言い聞かせながらのレースでした。ミスのないライディングと安定したペースを維持するように心がけながらのライディングでした。このことが決勝のリザルトに現れているのだと考えています。次戦の鈴鹿は、他のサーキットに比べてデータがあり、S 1000 RRのポテンシャルを発揮しやすいサーキットです。最終戦のMFJグランプリ鈴鹿には、万全の体制で臨みますので、応援をよろしくお願いします」
『Team Tras 135HP』 寺本幸司選手
【フリー走行から】
「オートポリスの出来が30パーセントなら、今回は40パーセントくらいです。国内で最もグリップの悪い路面と回り込むコーナーに対するセッティングに苦戦しています。前回のオートポリスで課題となったコーナーの立ち上がりでフロントフォークを伸ばそうとする挙動を抑えるセッティングを進めています。DDCのマッピングではなくフォークオイルの粘度変更など、物理的要素の適用を試みています」
【予選を終えて】
「車体の仕上がりはまだまだですが、今シーズンで最も手ごたえがあり、セッティングが進んだレースウイークになりました。もちろん、順位を競うのがレースであり、タイムを出すことが大切ですが、マシンを仕上げることも今の僕たちの最も重要な作業だと考えています。今まではトライとエラーのくり返しで先に進むことができない状態が続いていました。しかし今回は、マシン作りが進み、充実したウイークとなりました。朝のフリー走行でさらにセッティングを進めて決勝に臨みます」
【決勝レース後】
「スタートはまずまずで、16番グリッドから3台を抜いて、オープニングラップのホームストレートを13位で通過しました。序盤のヨシムラ津田選手の転倒の影響もあって12位に上がり、予選のベストタイムとほぼ変わらないタイムで周回を重ねました。しかしロングランテストをしていなかった影響から、15~16周目あたりからタイヤの摩耗によりタイムを落としてしまいました。減ったタイヤに自分のライディングを合わせようと、ライン取り、サスペンションの入れ方、リアブレーキのかけ方を変えてみたところ、タイムを戻すことに成功しました。ファイナルラップでは、1分32秒台をマーク。こんなことは今までできないことでした。これまではタイムが落ち始めるとそのままズルズルと落ちたままでチェッカーを受けていました。今回のマシンに今年一番の仕上がりを感じました。また、今日はピットでサスペンションのイニシャルを抜いたり、かけたりの細かい微調整を行ないました。言い換えれば、これは大きなセッティング変更の必要がなくなったことを意味します。セッティングが進み、ベースセットが見えてきました。最終戦の鈴鹿では、このベースセットを鈴鹿に合わせていくという方向性で進める予定です。大げさかもしれませんが、今年の集大成と言えるレベルまでバイクを仕上げたいと考えています」
『Team Tras 135HP』 武藤昇監督
【フリー走行から】
「最終コーナーでマシンの回頭性の遅れが顕著に見られました。他のマシンが早く向きを変え、直線的に立ち上がるのに対し、ウチのチームは向きが変わるのに時間がかかり、ワイドなラインで大回りして立ち上がっていくように見えます。これは、前回のオートポリスで判明した立ち上がりでフロントフォークが少し伸びてしまうことに起因しています。この対策としてバネのレートを柔らかめのものに、フォークオイルを硬いものに変更して調整しているところです」
【予選を終えて】
「昨日のフリー走行からコンマ5秒のタイムアップ。全体的な仕上がりが良くなってきた結果と考えています。コーナーの進入でスパッとスロットルを閉じる急激な挙動変化に対し、DDCの制御が作動して、フロントサスを伸ばそうとします。この伸びが旋回性の妨げになるため、寺本選手はあえてルーズにスロットルを閉め、この制御が働かないようなライディングとコントロールを強いられてきました。街中で走るには最適なシステムも、サーキットでそのまま使用すると必ずしも最適ではないことがわかってきました。これはレースに投入して初めてわかるDDCの特性でした。今回はこの挙動がリアサスやエンジンのアクセル開度からの影響に起因することが判明し、対策を施してきました。DDCの機能にちょっと手を加えるだけでレースでは有効なアドバンテージになることもわかり、少し楽しくなってきました。明日のフリー走行では、リアから来る挙動に対してまた別のアプローチで対策を施してみようと思います」
【決勝レース後】
「朝のフリー走行でリアの車高を変更しました。旋回性能が向上し、クリッピングポイントに容易に着けるマシンになりました。その反面、車高の変更はネガティブな要素もあり、切り返しがやや重いバイクになってしまいました。決勝は、後半にペースが落ち始めたのですが、寺本選手が走行スタイルを変えたことにより、最後の5ラップのタイムを戻すことに成功しました。マシンの安定感を掴んだのかな、と考えています。そして次のレースへの手ごたえと、何をしなければならないかの明確な目標ができました。最終戦のMFJグランプリ鈴鹿では、しっかり走って必ずいい成績を収めたいと思います。応援をよろしくお願いします」
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