取材協力/安心マネジメント 取材・写真・文/淺倉 恵介 構成/VIRGIN BMW.com 編集部
掲載日/2012年4月19日
バイクで公道を走るのなら、交通事故と遭遇する危険性を常に頭の隅に置いておかなければならない。「自分は交通ルールを守っているから、事故には遭わない」という人もいるだろう。だが、自らがルールに則った運転をしていたとしても、他者の過失で事故に巻き込まれてしまう可能性もあるのだ。そんな時、泣きを見るのは交通弱者であるバイク。我々バイク乗りは、自衛しなければならないのだ。
そこで、バイクの強い味方になってくれるのがドライブレコーダー。走行中の映像を記録してくれるので、万が一事故に巻き込まれた場合も確実な証拠となる。バイクの世界ではまだまだ普及が進んでいないアイテムだが、タクシーや配送車など仕事と走ることが切り離せない4輪の業務用車両には欠かせない装備となっている。安心マネジメントのニリドラは、バイク向けに開発されたドライブレコーダーのため、2台のカメラを標準装備している。走行中、進行方向と後方の映像を同時記録することで、記録の確実性を高めているのだ。音声や GPS による位置情報も記録しているので、データの信頼性の高さは抜群だ。
また、このニリドラはドライブレコーダーとしてだけではなく、オンボードカメラとしても活用できる。ツーリング時に使用すれば、楽しい旅の記録が保存できる。しかも GPS の位置情報が同時記録されるので、動画を見返すのが楽しいことは間違いない。カメラの取付け位置を工夫すれば、様々な面白い動画の撮影も可能なのだ。
標準装備の記録メディアで7時間の記録容量を確保、大容量記録メディアへ交換すれば最大28時間の長時間録画を実現。ダブルレコード機能を採用し、録画の継ぎ目の空白時間をなくしている。カメラは130度の広い視野角を持ち、高感度で夜間撮影にも対応。カメラやGPS受信ユニットなどは防水仕様となっている。ビデオアウト機能もあるので、モニターを繋げばリアルタイムでカメラの画像を確認できる。
付属の専用ビューワを使用すれば、ふたつのカメラの映像を同時再生が可能。速度や加速度のデータも確認できる。インターネット接続環境があれば、マップが表示され動画と位置データの同期再生も可能となっている。
電気系パーツの装着は難しいと考えがちだが、ニリドラは簡単に取付けられるように考えられている。基本はバイク本体から電源を取り、カメラやGPSユニットを固定するだけでいい。
ニリドラには2タイプの取り付け方法が用意されている。専用ハーネスを使用し、電源ユニットをバッテリーの「+」と「-」の端子に直結する方法なら、バイクの主電源のオン/オフに関係なく、任意にニリドラを起動させることができる。
電源ユニットをオン/オフスイッチ付きの専用ハーネスに接続し、専用ハーネスの端子をバッテリーに接続する。専用ハーネスの赤いケーブル側をバッテリーの+端子に、黒いケーブル側を-端子に繋ぐ。バイクの主電源は必ずオフにしておくこと。
バイクのメインキーのオン/オフと、ニリドラの起動を連動させることも可能。その場合は、メインキーがオンの時に12Vの電流が常時通電している配線を探す必要がある。写真はヒューズボックスからアクセサリー電源のコードを探しているところだが、配線図で確認した方がより確実だ。
あたりをつけたコードにテスターを当て、バイクのメインキーをオンにして12V以上の通電があるか確認。また、メインキーがオフの場合は通電しない部分を選ぶこと。ここでは、テスターの+側はアクセサリー電源に繋ぎ、-側をボディアースして通電を確認している。
カメラをフロントに固定。カメラには上下があるので、取り付け時には間違えないように注意。また、こういったカウルの下などに取付ける場合は、フロントフォークがボトムした時にフェンダーと干渉しない位置に取付けること。
リア側にもカメラを装着する。カメラは130度という広い視野角を持っているので、上下左右のクリアランスは確保しておきたい。テスト車両はリアキャリアが装着されていたので、キャリアの底面にカメラを装着した。
今回、ニリドラの販売元である安心マネジメントの代表を務める大慈彌(おおじみ)氏に話を伺うことができた。世界的に類を見ない、バイク用ドライブレコーダーであるニリドラ。開発にはいろいろと苦労があったようだ。
「やはりバイクでの使用を前提にしていますので、4輪車用ドライブレコーダーに比べて求められる性能は高かったですね。防水性能はもちろんですし、耐震性の面でも高いハードルがありました。コストもかなりかかっています。それでも、どうしてもバイクにもドライブレコーダーを普及させたいと考えて、ニリドラの開発を行ってきました」
なぜ、それほどまでにバイク用ドライブレコーダーの開発にこだわってきたのだろうか? ニリドラを販売する安心マネジメントの母体となっているのは日本交通事故鑑識研究所。こちらでは、交通事故の原因を科学的に分析する、交通事故工学鑑定を行っている。大慈彌氏は、同研究所のスタッフとして数々の交通事故の鑑定に関わってきた。その中にはバイク事故の事例も少なくはなかったという。ニリドラの開発は、交通事故と関わっていく上で知り合った、事故被害者の声がきっかけになったのだという。
「2輪と4輪が事故を起こした場合、交通弱者である2輪の方がどうしても被害が大きくなります。ライダーは入院してしまうことが多いので事故処理に立ち会えず、4輪側の言うがままに処理が進んでしまうこともあるのです。ドライブレコーダーさえあれば、そういった事態は防げます。
ドライブレコーダーが登場したのは10年ほど前のことですが、当初からバイク用の必要性を痛感していました。技術が進歩してようやく、性能的にも価格的にも市販できるレベルのものが作れたというところです。この春からは福島県警察の白バイ部隊にも正式採用していただきました。信頼性が認められたということだと思います。オンボードカメラとしても使える製品になりましたので、いろいろな動画撮影を楽しんでもらえますし、万が一の時はドライブレコーダーとして役立ててもらえればと考えています。」
ニリドラ開発の経緯を語ってくれた、安全マネジメント代表の大慈彌 拓也氏。事故当事者や保険会社などからの依頼で交通事故の鑑定を行う、交通事故工学鑑定のエキスパート。自らもライダーであり、バイク乗りの立場から交通安全を考え、バイク用ドライブレコーダーの普及に努めている。
ニリドラは記録メディアにCFカードを採用している。コスト的に安く済むのは普及率の高いSDカードだが、あえて高価なCFカードを使用している理由は、振動対策だ。SDカード(写真右)の端子は面接触、対するCFカード(写真左)は端子50ピンと接触箇所が多く、接触不良を起こし難い。振動が多い、バイク用ならではのチョイスなのだ。
2輪向けドライブレコーダー「ニリドラ DRA-14」や、4輪用ドライブレコーダー「あんしんmini」などの商品を展開。交通死傷事故撲滅を目指す、交通安全のエキスパート。