【海外試乗速報】S1000RR(2015)メディア向け発表会
- 掲載日/2014年11月14日【トピックス】
- 取材協力/BMW Motorrad Japan 文/鈴木 大五郎 写真/BMW Motorrad、八代 俊二
スペインのセビリアにある『モンテブランコサーキット』が今回の試乗会場。聞き慣れないサーキットだが、それもそのはず。レースは開催されておらず、テストでのみ使用されるという。しかし、四輪 F1 のテストも行われる等、設備もレイアウトも素晴しいコースであった。
ただ速いだけではない
本当の意味でのスーパーバイク
BMW Motorrad 初のスーパースポーツマシン、S 1000 RR がデビューしたのが 2010年。2012年には早くもモデルチェンジが行なわれ、そして今回3度目となるモデルチェンジを実施。スペインのセビリアにて、発表試乗会が行なわれました。
ニューモデルのトピックは、199 馬力というとてつもないパワーを得たこと。そのパワフルさは、市販車史上最速と思えるほど凄まじいものでした。しかし、そのパワーと同時に驚かされたのが、その扱いやすさです。もともと最先端の電子制御技術を投入していた S 1000 RR ですが、今回の装備はまるで Moto GP マシンのようでもあり、それでいてツーリングマシンのようでもあります。速さと乗りやすさ。そして安全性。それらを巧みにバランスさせたニュー S 1000 RR。ちょっと死角が見つからないマシンに仕上がっていました。
フォトTOPICS(写真点数/17枚)
01パッと見た印象は、シャープに、よりスタイリッシュに。左右非対称のフロントマスクは継承されるが、デザインは逆のレイアウトとなった。また、新型マフラーは後方までサイレンサーが伸びる。従来は日本仕様のみアクラボヴィッチ製サイレンサーが装着されていたが、ニューモデルでもこの形態が採用されそうな気配。
02宿泊先はセビリア空港から 10 分程度の市街地付近。ちなみにサーキットはさらに1時間ほど走った郊外にある。初日の午後遅くに現地に到着。夜はウェルカムディナーとなり、開発陣との会食。翌日はサーキットに移動し、夕方まで走行。そして翌朝には出国とハードなスケジュールだった。
03宿泊先はセビリア空港から 10 分程度の市街地付近。ちなみにサーキットはさらに1時間ほど走った郊外にある。初日の午後遅くに現地に到着。夜はウェルカムディナーとなり、開発陣との会食。翌日はサーキットに移動し、夕方まで走行。そして翌朝には出国とハードなスケジュールだった。
04技術説明は走行前日の夜、あるいは走行前に行なわれるのが通例だが、今回は簡単なブリーフィングの後にすぐ走行開始。その後、技術説明が入り、また走行と変則的な流れだった。説明の時間を長めに取り、走る時間が少なくなりがちな日本の試乗会とは正反対で、思う存分走らせてくれるのが海外流。
06説明会は通常、英語で行われるのだが、今回はドイツ語で行なわれ、各国に専属の通訳がついた。これは同時通訳用のイヤホン。試乗会は全体で5日間ほど行われ、その中で日本チームはイタリア、イギリス、ロシア等と同じグループだった。
07左右非対称のヘッドライトなど、スタイリングのイメージは前モデルから継承するが、細かい改良が随所に施される。フレームは新設計となり、ディメンションやホイールベースも変更された。狙いは、さらなる運動性と安定性の両立だ。
08エンジンはインテークカム、バルブ等の変更により、ヘッドも改良。また、エアボックスを拡大することにより、最高出力は 199 馬力を搾り出す。レイン、スポーツ、スリックモードのほかに、任意で設定変更ができるユーザーモードを新設。
09ABS、トラクションコントロール、オートシフターにローンチコントロール等、最新の電子制御のオンパレードだが、グリップヒーターやオートクルーズ等のツーリングシーンにも対応した守備範囲の広さが特徴。メーターにはさまざまな表示がされる。左右のバンク角表示が新しい。
10試乗会では 20 分のセッションを5本走行。初走行のテクニカルなコースをパワフルなマシンで走るのは、なかなかにタフで、ゲストで来ていた元 GP ライダーのユルゲン・フークス氏に最初の2本の先導をお願いしてペースアップをはかった。
11最もスピードが乗るのはフロントストレートで、ギアは5速で引っ張る。メーター読みで 290 キロをオーバーするも、まだまだ加速力は衰えないままにブレーキングポイントに到達。ロングストレートが短くなったような錯覚を起こす。
12電子制御サスペンション DDC は、低速で走り出すと乗り心地の良さを伝える。まさか 199 馬力もあるマシンのようには感じられない肌触りであるが、スピードが上がるとともに減衰力が高まり、そのパワーをしっかり受け止める。
13トルクがあり、扱いやすさも感じられるエンジンキャラクター。しかしその気になれば、スロットルを開ければ開けただけ底なしに加速していくような印象。オートシフター装備で途切れることなく加速力が続いていく。それでいてスタビリティは驚くほど高く、直進安定性も良好。
14OEM タイヤはピレリとコンチネンタルを採用。試乗会ではピレリ製のディアブロスーパーコルサ SP が装着されるが、午後の走行ではスリックタイヤに換装。大幅に上がったグリップ力やコーナーリングスピードに対するスタビリティがしっかり確保されているのが印象的だ。
15レースキットパーツ的な扱いのキャリブレーションキットを装着することで、PC に繋いでアクセル開度やリーンアングル、ブレーキ圧やスライド量など、さまざまな情報をモニタリングすることが可能。より細かいセットアップも可能となる。
16新型 S 1000 RR は、スーパースポーツマシンに真っ先に求められる速さを絶対的ポテンシャルでクリアしたうえで、乗りやすさや安全性をも高い次元で両立させた、今後のスーパースポーツマシンの指標となるべきスーパーなバイクといえる。
17新型 S 1000 RR は、スーパースポーツマシンに真っ先に求められる速さを絶対的ポテンシャルでクリアしたうえで、乗りやすさや安全性をも高い次元で両立させた、今後のスーパースポーツマシンの指標となるべきスーパーなバイクといえる。