R1200S(2006-)
- 掲載日/2011年10月03日【BMWバイク中古車ガイド】
R1200Sの歴史など
“S”の称号を冠する
BMW のスポーツ・モデル
それまでの保守的なイメージが強かった BMW を変えるために送り出された R1200 シリーズは、R1200GS を先頭に R1200RT、R1200ST、R1200GS アドベンチャーと続き、今回ご紹介する R1200S の順に登場します。R1200R はもう少し後になります。
R1200S が発売されるまでは、他のRシリーズが 1150 に変更されているにもかかわらず、R1100S がフラットツインのスポーツの座を守っていましたが、2006年5月、ついに R1200S が登場します。R1200GS が2004年4月頃からの販売なので、丸2年経過してようやくの登場という感じです。
R1200S の販売価格は、ABS 無しの基本的な車輌で 1,848,000円。ABS やオーリンズ製サスペンション、グリップヒーターが装備された車輌で 2,121,000円。ツートーンカラーリング車がプラス 52,500円という価格構成でした。なお、発売当初は様子見で導入されたと思われる、サスペンションだけが標準仕様の ABS 付モデルも、2,016,000円で発売されていました。それら様々な仕様の中でもっとも販売された車輌は、ABS、オーリンズサスペンション、グリップヒーターが装備となっている、もっとも高価な仕様でした。
日本へ輸入されている R1200S は、どの仕様もそのほとんどが2006年の前半にメーカー生産され、2007年のフレーム番号が割り当てられた2007年モデルのようです。2007年以外のフレーム番号を持つ R1200S は見たことがありません。
R1200Sの特徴
人気先代モデル R1100S の後継機
とにかくスポーティなつくり
保守的な色合いが強かった(BMW はそのように考えてはいなかったが、外からは思われていた)それまでのイメージから大きく方向を変えるべく、「ダイナミック」というキーワードを基に R1200S には新しい試みがいろいろと採用されています。
R1200S のエンジンは、122ps(90kw)を発揮する R1200S 専用のエンジン(型式122EG)で、HP2 SPORT が登場するまではフラットツインシリーズ最高の出力を誇っていました。このエンジンには、より大口径のインテークマニホールドとエキゾーストパイプが装着され、圧縮比を高め、シリンダーヘッド内の部品やピストン形状を変更し、最高回転数を上げることによりアイドリング付近の使いやすさよりも中回転以上でのパワフルさを演出しています。
車体の構成は他の R1200シリーズと同じで、フロントサスペンションにテレレバー、スイングアームはパラレバーとし、エンジンをフレームの一部としてパイプフレームで骨格を作っています。ただし ABS は「 ON/OFF 」切り替えが可能で、とても軽量な R1200S 専用品が装着されています。
R1200S はフレーム構成を意図的に前・中間・後の3つに分け、リアフレームにアルミを使用することにより軽量化にも貢献しています。また、外装パネルの取付方法は他のモデルよりも比較的簡素化されており、少しでも軽くしたいという思いが現れています。当然走行中に脱落するようなことは無いのでご安心下さい。
多くの車輌には、メーカー生産時から前後サスペンションにオーリンズ製が装着されています。R1100S の時にはスポーツサスペンションがありましたが、R1200S にはより高品位でオーナー心をくすぐる部品が採用されています。R1200S に取付可能なアクセサリーは、スポーツ走行に関係する部品が数多く販売されています。その中で純正アクセサリーでは、パニアケースをはじめタンクバッグ、リアバッグ等のツーリング用品も用意されています。
当然スポーティな足回り
テールまわり
S専用の設計と装備
当時のカタログを見てみよう!
スポーツ・マインドを全面にアピール
高い走行性能と美しいスタイリング
中古車選びの注意点
要注意ポイントはミラーとハンドル
希望の仕様か装備も確認
中古車選びで R1200S ならではの注意項目は、リアビューミラーとハンドルバーの状態確認です。リアビューミラーは駐車時に便利な可倒式ですが、頻繁・無造作に回したり立ちゴケした時に稼動部分が緩くなる傾向にあります。緩くて走行風に負けて曲がるということはありませんが、グラグラするようでは1本約2万円のミラーAssyを交換することになります。
ハンドルバーは R1200S に限らず、Sと同じタイプは容易に曲がることがあります。ハンドルバーウエイトのキズの有無だけでなく、左右に回しきった時のカウルとの隙間である程度状態を確認することができます。また、R1200系のシリンダーヘッドカバーは軽量化のため薄く作られているので、大きなキズがあるときは極小のヒビ割れにも注意する必要があります。
- ● ABS やサスペンションの違いによる仕様があるので、希望するタイプかどうかよく確認する。
- ● ハイグリップタイヤを装着している場合は、摩耗が思いのほか早いためしっかりと残量を確認する。
- ● オーリンズ製サスペンションは、性能を維持するため車輌同様に定期的な整備が必要になります。
- ● 燃料タンクはアルミ製のため定期的に内部に溜まった水分を確認・除去する必要があります。
- ● センタースタンドが装着できない車輌のため、前輪の歪みや曲がりの確認をより入念におこなう。
- ● バッテリーが弱っているとエンジンの不調にもつながるので、いつも良い状態のバッテリーを使用する。
- ● フロントサスペンションのAアーム下にあるハンドルダンパーを見過ごしやすいので、腐食やオイル漏れに注意する。
1960年生まれ、91年式R100GSパリダカール所有。1983年に福田モーター商会に入社して以来、BMWに携わり続けている。毎年100台以上のBMWの下取り査定や中古車販売に携わっていて経験豊富。
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