クラッチの点検
- 掲載日/2011年10月16日【R1100/1150GS基礎メンテ】
- このコンテンツは BMW BIKES Vol.51 掲載の記事を再編集したものです。
文・写真/ BMW BIKES 構成 / VIRGIN BMW.com
R1100/1150GS 基礎メンテ【クラッチの点検】編
ケーブル式クラッチの場合
1100系のクラッチはケーブル駆動。
レバーのガタを点検する
使用によるクラッチの磨耗につれて、ケーブルの遊び(レバーのガタ)が少なくなってくる。放置すると遊びがゼロになり、ケーブルが突っ張ってしまう。常時クラッチレバーを握っているのと同じなので、クラッチの磨耗が促進されるうえにケーブルが切れやすくなる。
遊び量の調整(レバー側)
レバーのガタはこれくらいが理想。少なければ、アジャスターのロックナットを緩め、アジャスター本体をレバーブラケットにねじ込む。
遊び量の調整(クラッチ側)
ねじ込みしろが無くなったら、ミッション後部、奥のレリーズレバー中央の13mmのロックナットを緩め、10mmのアジャストボルトを適当に緩めてロック。遊びを大きくしてから前述のレバー側アジャスターで再調整する。
クラッチケーブル交換の目安
経過年月や距離によっての判断で、切れる前に交換する。
クラッチレバーの整備
レバー軸のピボットピンやレバー側の潤滑不足によって偏磨耗していることがあるので、定期的にレバーを外して古いグリスを除去し、新しいグリスを塗る。これだけでもずいぶんと操作が軽くなる。
油圧式クラッチの場合
1150系のクラッチは油圧駆動。クラッチ液はブレーキ液と共通部品。2年毎には交換する。
油圧クラッチの点検
レリーズシリンダーはミッション後部。
レリーズシリンダーの点検
レリーズシリンダーに液漏れ発生。外に漏れるなら見つけやすいが、構造上、内側に漏れるので早期発見しにくい。
クラッチレリーズの構造
このように、クラッチレリーズから長いプッシュロッドがトランスミッションを貫通している。このロッドを伝って、漏れたクラッチ液が乾式クラッチに流れてしまう。
乾式クラッチの点検
ミッションを降ろして乾式クラッチを点検する。1100/1150系ほぼ共通部品。
クラッチの異常
この車両はクラッチのすべりが起きたため入庫したものだ。本来ドライであるはずのクラッチハウジングにクラッチ液が溜まっている。
劣化したクラッチを交換する
外したクラッチ。クラッチディスクに液が浸み込んで再使用不可能。
クラッチカバープレートの清掃
カバープレートは洗えば使えるかと思ったが……。
劣化したクラッチカバープレート
クラッチすべりによる過熱で焼けて歪んでしまい、再使用不可能であった。
クラッチ―ミッション間のグリスアップ
ミッションのインプットシャフトのスプラインにはクラッチディスクが勘合し、クラッチ操作によってスライドしなければならない。工場出荷時にグリスが塗られているが、いずれは消失する。若干の潤滑が必要なこのスプラインが摩滅すると、クラッチが切れなくなるだけではなく、シャフトやディスクの交換が必要になる。簡単に分解してグリスアップできればいいのだが、構造上そうもいかない。
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