第2回 シリンダー・シリンダーヘッド
各メディアでの好評もあり、発売以前より数多くのバックオーダーを抱えている BMW Motorrad の旗艦 K1600GTL。その K1600GTL は大きいだけのツアラーではなく、現在の BMW のテクノロジーを惜しみなく投入した文字通りのフラッグシップ。一般読者やオーナーですら見る事ができないメカニズムやメンテナンスの詳細を眺めながら、K1600GTL の本質を紹介していこう。
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![K1600GTL編分解レポートの画像](/vbmw_data/img/technical/technical06/02/01.jpg)
いよいよエンジン分解。まずはマグネシウム製のシリンダーヘッドカバーから。
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車体にエンジンを搭載した状態では、スパークプラグ交換など、ラジエターを外さなければできない作業が多くある。
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カムシャフトの駆動方式は、吸排気ともオーソドックスなチェーン駆動。4気筒Kエンジンでは、排気側のみチェーン駆動、吸気側はギヤ駆動であった。
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カムシャフトは鋳物ではなく、中空パイプである。
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KやSのエンジンのようなロッカーアームも持たない。最新設計のエンジンにもかかわらず、極めて古典的な造りであることが興味深い。
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エンジン分解の前に圧縮上死点を出し、スペシャルツールで固定しておく。
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カムシャフトの位置(バルブタイミング)も念のため分解前に計測しておく。
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カムシャフトを外すためにスペシャルツールでカムホルダーを押さえる。
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カムホルダー固定ナットを外し、スペシャルツールを均等に緩めていく。カムホルダーやカムシャフトの歪みを防ぐためだ。
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カムホルダーを外すと、長い二本のカムシャフトが現れる。
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カムスプロケットごと外す。カムチェーン取り外しの際、エンジンによってはスペースが無くて苦労することがあるが、簡単であった。
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カム山部分とシャフトが別々のパーツで出来た組み立てカム。中空シャフトを使い極めて軽量に仕上がっている。
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この角度で見ると、カム山部分がシャフト本体と別部品であることがわかる。接合は、溶接ではなく圧着式である。
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カムは直接バルブリフターを押す。R・K・Fシリーズのロッカーアーム&シム調整方式とは決定的に違うところ。
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バルブクリアランスの調整にはシムを用いず、厚みの異なるバルブリフターを多く用意して、リフターごと交換する設計。
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バルブ周りは極めて普通。ただ、バルブ挟み角はインテーク12°エキゾースト13°と狭い。
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個別のスリーブを持たない、ニカジルメッキ加工のアルミシリンダー。アルミシリンダーにニカジルメッキを施すやり方は、後期2バルブボクサーエンジン以降のBMW製エンジンすべてに共通する。
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6気筒がすべてつながったモノ・スリーブは、シリンダー間の隙間がこんなに小さい。
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ピストンヘッドは平坦で、吸気側のみバルブリセス(逃げ)加工がなされている。
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