#03 いよいよ本番直前!
- 掲載日/2010年07月25日【S1000RR 鈴鹿8耐参戦記】
- 取材協力/Tras 文・写真/新田 正直 English >>
がんばれ!『Tras チーム』
2008年に HP2 Sport で“もて耐史上初”となる外国車優勝を遂げたトラスチーム。2009年には新たな挑戦として HP2 Megamoto で“もて耐”参戦。途中1位に浮上しつつもエンジン・トラブルで結果はリタイア。そして2010年、過去 BMW マシンで挑戦し続けてきた“鈴鹿8耐”に戻って来た!
ストック状態で驚異のポテンシャル
それだけに課題も…
鈴鹿 300km ロードレース終了後、S1000RR には大きな課題が見つかりました。 ストック状態で、レースモードへの変更だけで 190ps ものパワーを発揮する市販バイクは S1000RR の登場が初めてのはずです。未知なるパワーを受け止めるブリジストンのスリックタイヤは、Moto GP テクノロジーが満載で絶大なグリップ力を発生させます。しかしハイパワーとハイグリップタイヤに、どうやら車体やサスペンションがついていかないようなのです。 このマシンが“振られる”という大きな問題をどう解決するか? ここからはトラスの技術力が試されるパーツ開発となります。
280km/h 以上のスピードと 190ps のハイパワーには、理論に基づいた外装が必要になるわけです。カーボンで剛性がアップしたカウルは、風を切る形状にリファインされています。さらに、トラスで設計したシートカウルとシートレールは車体の振れを防止するよう、最善の材料を吟味し、製作されています。
■鈴鹿でのテスト
まずはじめに、スーパービルドさんで製作された強化スイングアームをテストします。
第1ライダーの戸田隆さんは、セッティングの方向性が掴めたと好印象の報告ですが、相変わらず高速コーナーではマシンが振られるようです。 第2ライダーの高田速人さんにチェンジ(高田さんは BMW でのサーキット走行は初めてです)。「マシンの振られが大きくてタイムアタックなんて無理ですよ」とのコメント。
第3ライダーの齋藤栄治さんにチェンジするも、同じ印象のようです。
午後からの走行に向け、懸念されているフロントフォークと、トラス製のシート周りに変更することにしました(この日のテストでは、トラス製のカウルはまだ装着していませんでした)。するとどうでしょう? 今までの走行と打って変わって、ライダーたちはサスセッティングの細かな調整に移りました。高田速人さんは、初めてのバイクにも関わらず、適切な指示を出してセッティングを煮詰めていきます。
新田「なんか凄いね? この人…」
武藤「そーなのよ! 足りない部品があるとサーキットで借りてくるほど顔が広いし、色々な可能性を感じる人なのよ。とても 33歳とは思えないほど落ち着いたところもあるしね。」
そんな高田さんが、タイムアタックに向け走り出したのです。初めてのバイクで2分16秒台に突入! セッティングの方向性が見えたこの日のテストは、今までで一番気持の良い状況と相成りました。
3人が走行終了後、一様に同じことを言い出します。「シートが高くて硬くて乗りにくい! 下げてもらえませんか? もう少し柔らかく出来ませんか?」
新田「え~! そんなの無理 !! 構造的に変更は出来ない!!!」
とは言ったものの、次のテストまでにリクエストに応えるため、綺麗なカウルに加工を施し、シート位置を下げたのでした。
…Tras 新田の、ココロのつぶやき
“ Moto GP テクノロジーで作成したのにな…”
■最終テストは、雨。
アクラポビッチのフルエキゾーストシステムと CPU を組み換え、トラス製の空気を切る外装を装着、鈴鹿8耐仕様がようやく鈴鹿を走ります。 どしゃ降りの雨の中、レイン用のセッティング出しに専念します。 空気を切るカウルの確認は出来ませんでしたが、レインセッティングはほぼ完璧。方向性も見えました。
さー、次はいよいよ鈴鹿8耐本番です。S1000RR のオーナーさんや興味がある方、BMW 大好きな皆さん、25日(日)鈴鹿でトラスイエローの S1000RR の走る姿を目に焼き付けに来てください! 鈴鹿に来られない皆さんも『 Tras & G-TRIBE + 8810R 』の応援をよろしくお願いいたします! コメントもお待ちしております。
S1000RR 鈴鹿8耐仕様
- JB 製マグタン
- Brembo 製 ブレーキキャリパー(前後)
- ZCOO パッド
- 高田速人さんの(SHOWA製)フロントサスペンション
- PIAA HID
- elf オイル
- スーパービルド製スイングアーム
- Beater 製 S1000RR 用 24L アルミタンク
- エンジンとラジエターはノーマルです。
がんばれ“Trasチーム”!
この記事に関するコメント(ご意見、ご感想、ご声援!など)を受付ています。S1000RR レーサー製作は、すべてプロフェッショナルの手により、豊富な知識と経験、確かな技術によってレーシングユースを前提とし、参加する人やその周囲の人たちが愉しみながら行っています。
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これまでのコメント一覧
同型車オーナー さん
どの角度から見てもSSモデルなのに、カラハリイエローのR1100Sを連想してしまうのは私だけでしょうか?競合チームに混ざってもこのS1000RRは目立ちそうですね。
アルミタンクの購入真剣に考えています。レースではなくツーリングですけど!
イレブン・カフェ さん
応援しております。
素晴らしい走りを見せてください!
Tras 新田 さん
>同型車オーナーさん
カラハリイエローなんてカラーリングが思い浮かぶなんて、かなりのBMWマニアですね!
アルミタンクはビーターさんから販売されています。24Lの容量はツーリングの距離を大きく伸ばしてくれると思います。これからもS1000RRで楽しい思い出をたくさん作ってくださいね。
Tras 新田 さん
>イレブン・カフェさん
応援ありがとうございます!
走りの一部が【其の四】で公開されていますので、ご確認お願いします。
いや~それにしてもS1000RRは凄いバイクです。
今まで以上に、これからも応援よろしくお願いいたします。
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